▼蔵元の「イヤー、恥ずかしい。でもホッ。やっぱりダメだぁー」
「メッセージをおあずかりしています」携帯電話から流れる声にドキッ!!最近携帯電話を取り替えたんですよ。最新型「しーでぃーえむえーわん」!
だけど、留守電の聞き方ぐらい同じにしといてよ。ためしに、何となく、らしいボタンを押してみても、表示されるのは他の機能ばかり。いや、だけどすっごいたくさん機能があるんですね。しかし、使えなけりゃただのゴミ。おっさんのレベルにあわしてよ。
参ったな、どうしよう。あせって、説明書を読んでもそこんところが見つからない。いつまでも携帯電話にかかづらってるわけにもいかないし。
実をいうと、これ前回の話なんですよ。
このときは、寺田君の電話とわかって一件落着。
つまり、できないまんまウヤムヤにしたわけですね。
今回二回目。イヤー、困ったな。だっけど、わかんないしな。
ところが、あせってたら続いて聞こえてくるじゃありませんか。「メッセージを聞きたい方は暗証番号をどうぞ」
なんだそうか、じゃ、セルラーの店長の秋山君の言ってた〇〇〇〇を押せば良いんだろ。続いて1を押せば良いんだな。うんわかった。ちゃんとアナウンスしてくれるんだから、マニュアル見ても書いてあるわけないか。やっぱ、携帯も進化してんだな。
んってわけで、メッセージを聞くことも無事にできてホッ。んで、これで終わると思うでしょ。ところ・・・・・・。
では、どのパターンのとき、暗証番号云々のアナウンスがでるかわからないんですよ。
そこへ三つ目の悪魔のアナウンス。「メッセージをおあずかりしています。」今この三つ目と格闘中。
だけど、こんな私でも捨てる神あれば拾う神あり?茨城県竜ヶ崎の飯野屋さん主催の「幻の日本酒を飲む会茨城支部二〇周年」の会場で、和歌山の「黒牛」の名手社長が「旭酒造さんはホームページでメルマガも発行しているし、パソコンのハードに詳しいんでしょうね」というお褒めの言葉をかけてくれました。
ん、なわけないじゃありませんか。
名手さん、「黒牛」特別純米がお客様を感動させるおいしい酒であることは認めますけど、酒蔵の経営者のパソコン理解能力を判定する目は?ですよ。
▼蔵元の読書
最近の面白かった本。「捨てる技術」辰己渚著・宝島社新書
−家や会社に、モノがあふれて困っていませんか!?本当に豊かな生活は「捨てる」ことから始まります。!−
帯書きのとおり。「うん、なるほどこうやって思い切って捨てれば良いんだな」だけどこの本どうする。「うーん、とりあえずしまっとこう」
▼蔵元短信 酒蔵は今
六月の後半に入って、毎晩酒蔵の前の川で蛍が乱舞しています。ちょうど真っ暗になる八時位から一時間が見頃ですけど、結構見にこられる方がいるので、酒蔵の前の川の脇にイスを何脚か出しています。
お暇のある方はいかがですか。
それと、来月7月12日、秋田の醸造試験場で、酒蔵の皆さんを前にお酒の話をすることになっちゃいました。秋田と言えば「爛漫」「高清水」などそうそうたる酒蔵のある銘醸地、私なんかが話したんでええんかなー?反対に「あの時、あいつの話を聞いたばかりにひどい目にあった」何てことにならなきゃ良いですけどね。
またこの失敗談は7月に皆さんにご報告します。
▼獺祭酒蔵蔵元のひとり言
(お酒の情報メールマガジン 週刊 GOSSIに今週号より五回連載しており ますが、その記事の転載です。ダブっている方ごめんなさい)
よろしくお願いします。山口県の旭酒造です。
「もうっ・・! こんな生活 やっ!!」
ドラマで良くある切れるシーンのせりふですね。実際は、いっぺんにこんなに切れちゃうんじゃなしに、少しづつ少しづつたまってって、最後の一線を越しちゃうわけですよね。少しづつ少しづつたまってた旭酒造が切れたのは10何年前です。
それは近くであった火事がきっかけでした。
子供を通して知っていた知合いのお父さんが火事でなくなるという痛ましい事故でした。
酒が主原因ではなかったようですが、その晩一人で酒を飲んでおられてて、呑み過ぎてて、なんらかのはずみにストーブを倒して火が燃え移り、逃げ遅れて亡くなりました。
子供さんの顔も良く存じ上げてましたからショックでした。
一度私どもの酒蔵にも御出でいただいたことがありますが、朝から酒の臭いのする方でした。
「酒、あんなに呑まなきゃなー・・・」
酒を造るのが厭やになる事件でした。
実を言うと、それまでにも、少しづつ少しづつたまってたんです。
酒の関係の方は知っておられる話と思うんですが、以前は一級酒・二級酒という呼び方をされていましたけど、その2級の小瓶を継続的に買う方は、アル中とは言いませんが、飲酒形態に問題のある方が多かった。−そういう意味では、最近その手のお客さんは焼酎に移ったみたいで、サバサバしていますが−ある日、ある酒屋さんで売り上げが顕著に落ちているのを発見して、担当セールスに問うと「あれはうちの酒を飲んでくれていたお客さんが入院した」という返事。ぐらいならまだ良いけど、甚だしいのは「死んだ」という返事。こんな話ばかり(この件、少し言い訳あり。最後に別添)。
それでも私どものお酒を売っていただくようお酒屋さんにお願いするのがセールスの仕事。
お客さんの不健康の上にしか酒蔵の経営は成り立たないのか。
しかも、そうまでしてお願いしても、当時長期構造不況業種のトップにあげられてた酒造業ですから、世の好景気を横目に販売量は前年対比割れは当たり前。
酒屋さんから聞こえてくるのは隣の酒蔵との値引きの対比の話ばかり。原料に米ぬかを使っても、何をしても、原価を下げて、販売原資を捻り出して、多額の値引きと広告宣伝費を使い、大量の販売員をマーケットに投入して、お酒屋さんによりたくさんの仕入れをお願いすることが正しい酒蔵の商売の仕方のように言われる。
「なんかおかしい。こんな商売間違ってる」
「たくさん呑んでもらわなくて良い。たくさん呑んでもらわなけりゃ成り立たないような酒蔵の酒の造り方・売り方はやめよう」
では、それでどんな酒蔵になったか次回でお話したいと思います。
▼旭酒造の商品紹介(その1)
獺祭 磨き 二割三分・純米大吟醸・山田錦・精白23%・アルコール度数15.9度
1.8L 9,700円
0.72L 4,850円
とにかく、最高のものをと求めた酒です。最初は自社栽培田で作った山田錦を何か特別な酒にしようと軽い気持ちで造りはじめたものですが、良くも悪くも、23%という精米歩合がひとり歩きしはじめ、それに恥ずかしくない酒であることを常に自社内でも問いかけ、あるよう努力している酒です。
(別添)
基本的には日本酒のような醸造酒は、蒸溜酒と違って、肝臓疾患の発生とは相関がないようです(秋田大学医学部滝沢教授:日本酒を毎日1合飲む人は飲まない人と比べて肝臓疾患にかかる割合が1ポイント低い)。
ただし、すでに肝炎などにかかっている方はすべてのお酒が害となるようです。肝臓疾患は酒よりも肝炎への感染の方が主原因のようです。ただ、このことがあまり世に出ないのは以下の理由のようです。C型肝炎等は医療現場で伝染していったようですが、実際その伝染の主原因となったお医者様がまだご存命で、触れにくいという事情や、アルコールが肝臓疾患の主原因であるという学説は欧米から入ってきたんですが、それを入れた医学会のトップがまだご存命中で、弟子を中心とした今の医学会としては反論し難いといった、なにやらエイズ事件を思い出すような話もあるようです。
先程の醸造酒と蒸溜酒の肝臓疾患との相関関係の差の件は、私見ですが、飲める量と思います。つまり、体調などに関係無く大量に飲める蒸溜酒と比べて、日本酒は特にそう思うんですが、体調が少しでも悪いとおいしくなくて飲めないですよね。
皆さん、お酒がおいしくないと感じるときは飲むのをやめましょうよ。