▼夢に日付を

まいっちゃったな。いつも送ってくれる新洋技研(タンクメーカー)のDM、今回あの東証一部上場の居酒屋チェーン「和民」の社長渡邊美樹氏(若干40歳!)の話を乗せていました、その話を読んだ感想です。

「夢に日付をいれ、絶対にその日を変えない。」んだそうです。

夢は実現するためにあるんだから、その夢を紙に書いて、どうしたら実現できるか考えてきましたけど、日付をいれることはしませんでした。

こりゃぁ勝てない。

しかも最後に「翌日にお礼状とちょっとした品をお送りしたのですが、非常にご多忙にもかかわらずすぐにお礼のお手紙をいただき、驚きました」って書いてある。反省。反省。反省。

▼秋田行ってきました

秋田空港に降り立って、周囲を見回すと、さすが秋田は美人が多い。万葉の昔から、日本人の美人は秋田系と朝鮮系の顔立ちと2種類に代表されるといいます。我が山口県は地理的に朝鮮半島に近く、在日の韓国出身の方も多く、私自身も鏡を見ちゃあ、馬面とか下駄みたいな顔と中学生時代に友達からいわれた我が顔を見るにつけ、やっぱり先祖はあの半島だろうなと思うんですが、その朝鮮系美人のメッカ(?)山口からまさに秋田美人の国・秋田へ。

前回お話していた、秋田醸造試験場で行われた酒蔵の研究会(新技術・新商品講習会)に講師で呼ばれて、行って参りました。何の話をしたかって、話のプロじゃありませんから、自社の酒蔵の酒についての考え方の話、つまりいつもこのメルマガで皆さんにしつこいなぁと思われながら書いている話をさせていただきました。(秋田の酒蔵の方に悪影響を及ぼしてないか心配です。ま、秋田といえば日本を代表する主産地ですから、大関が十両の話を座興に聞いたみたいなもんで、大丈夫とは思いますが)

実をいうと今回の秋田行きはもう一つ目的があって、この前からお話している商業ベースでの初の導入になる遠心分離機の打合せです。「吟醸もろみ上槽システム」の名前で秋田醸造試験場の手で開発されたものですが、実際に開発を担当された先生方にお会いして、その情報交換もかねていました。

その話も終わって、酒の席、秋田の岩がき(夏が旬なんです!)なんぞを秋田のおいしいお酒(誰だ、本当に良い秋田のお酒はみんな東京に行っちゃうなんて言ったのは)と一緒にいただきながら、きつい一発を喰らっちゃいました。

遠心分離機を開発された醸造試験場の田口先生から、「この機械は鑑評会に出品された酒と一般に市販されてる大吟醸の品質上の落差を埋めるために開発された、大吟醸もろみのよさを全て表現できるシステムだけど、悪いもろみの酒をこの遠心分離機でしぼってもよい酒にはなりませんよ。」少々ちゃんがらでも、技術的には劣っても、うちの酒もこれで搾ればみんなよくなると思っていた脳天気な私に冷水を頭からかぶせる一言。

あんまり、おどかさないでくださいよ。

だけど、いい事に気が付きました。田口先生は音に名高い秋田吟醸の、それも麹の指導のエキスパート。先生、遠心分離機の優秀性を天下にアピールするためには、「獺祭」が良くなくちゃいけないんだから、いろいろ私どもの酒の造りに変なとこがあったら教えてください。よろしくお願いします。

これで、今年もうちの酒、少しは進歩するかな。いやぁ、酒蔵の社長はありがたいですね。

▼獺祭酒蔵蔵元のひとり言
(お酒の情報メールマガジン 週刊 GOSSIに今週号より五回連載しておりますが、その記事の転載です。ダブっている方ごめんなさい)

今日は旭酒造です。

第5話ともなると語り尽くしちゃって、こんなもの造りたいという話でもしなきゃ、話がないんですが。

今年の春こんなことがありました。

すごいですね。JR西日本鉄道のかもめ13号。博多発長崎行き特急。シートは革張りですよ。それもまだ本革の香りの残っている。床はウッド。かたわらには博多駅で買った鰯の押鮨。それも、一度ホームまで上がって、またわざわざコンコースまでおりて、820円也で求めた押鮨。その前の日、徳山でお酒を飲んで最後の仕上げに食べたのが鯖鮨でしたから好きですね。

博多は好きな町です。あのなんとも言えない大らかさ。うまいもんがおおい。意外な事に日本海に面しているから、魚が寒流で身が締まってうまいんですよね。しかも安い。美味くて安い。

その博多駅を11時2分に出発して車窓を流れるのは筑後平野。

「うーん、酒が欲しい。」だけど何でキヨスクや電車の車内販売っていいお酒がないんですかね。私どものお酒も徳山駅のキヨスクに出していますから大きな声で言えないんですけど、あくまでそれは土産物としての要素の高い四合瓶。まさか四合瓶を開けて車内で飲むのは心理的抵抗がある。ワンカップで良いお酒があれば良いんだけど、そうすると売れる量に限りがあるから、どうしても大手のレギュラー品になってしまう。大手のレギュラー品が悪いとは言いませんけどね・・・・・・・

「うーん、やっぱりもうちょっと良い酒がいいな。個人的には。」で、結局缶ビールを1本飲んじゃいました。春の諌早湾を眺めながら飲むサッポロの黒ラベル最高。私どもは地ビールメーカーでもありますのにこんな事いうのも変なんですけど、日本の大手のビールは本当に品質がいいですよね。自分たちも含めて地ビールは頑張らなくては。それと日本酒も。当然。

話が横にとんじゃいましたけど、もう少し、いろんなところで、もっと簡単に、ものすごく良い酒とは言いませんから、そこそこの酒がそこそこの値段で手に入るようにできないもんですかね。

どうも品質にこだわる努力がお客様に近いところでなされてないんじゃないか。あれだけ、新酒鑑評会などで、出品用のびん詰するビンの1本1本のもとのガラスの匂いまで問題にするほど、こだわるのに、お客様の近くに行くと、「うちの酒はとなりの酒と同じ値段で200ml余計に入っています」とかそんな話ばかり。

昔は「酒屋さん、10本仕入れていただいたら3本つけます。」こんな話ばかり。そうすると、お客様の手の届くとこで安いだけ、今の方が進化したんですかね。だけど相変わらず、日本酒業界の業界人は、お客様は良い酒がわからないと思っているんじゃないかと思われます。

そんなにお客さんて、値段しか見えなかったり、高い広告料を払って作られたイメージ広告につられて酒を買う人ばかりなんですかね。

いかん、いかん、また話が横道にそれている。

要は、旅先でも気軽に美味い酒が飲める状況にどうやってするかなんですが。最近、飛行機の国内線でも、アルコールを売りはじめているんです。ところが、寂しいことにビールとワインだけ。ビールは清涼飲料としての一面がありますから理解できないこともないんですが、日本酒はなしでワインだけはないでしょう。ためしに赤ワインを頼んでみましたけど、この程度なら、純米吟醸でこれ以上のおいしさをこの価格で提供できる(つまみ付き500円・JAL)と思いますけどね。尤も、ほとんどの酒造メーカーに頼むと、こういう場面で、価格要素を含む商品体系の中で、普通酒のワンカップかなんかを出して、日本酒に期待をもつお客さんを幻滅させることを繰り返してきたんですがね。(日本酒に興味の無い仕入担当者が、品質を無視して価格対応を迫るからだという説も首肯けないこともないんですが)もう少し、自分の都合だけで考えるんじゃなしに、お客様が何を望んでいるかに真剣に応えれば、お客様の支持も返ってくるんじゃないかと思っています。ちょっと業界全体にボタンの掛け違いがあるような気がします。だけど、業界のせいなんかにせず、個々に努力すればいいんですよね。

頑張るぞー。

ということで終わりにしたいと思います。どうも、5回もの、それも毎回毎回、長い話を聞いていただきましてありがとうございます。

▼旭酒造の商品紹介

オッターフェストビール・330ml 380円
文中にも出てきました、ビールについても紹介させてください。オッター(獺・かわうそ)フェスト(祭)、つまり「獺祭」の和製ドイツ語(?)です。清酒「獺祭」と同じ水、何より同じ心で醸しています。麦芽100%の上面発酵で、ドイツのケルン地方で造られるケルシュタイプを私どもでアレンジしています。爽快な苦みの中にきれいな甘みを感じていただければ、私どものビール造りも成功です。