大蔵省が酒税の増税案を出してきました。発泡酒はビール並に、ワインと清酒を同率の税金に、合成酒やアル添酒は蒸留されたアルコールが添加されているんだからウイスキーなどの蒸留酒と同率にするというものです。他酒類に比べてアンバランスに低かったワインと発泡酒をほかと一緒にするということです。

早速発泡酒業界からは反対の声が出ているようです。

お客様の評判を気にする酒蔵の主としては、さわらぬ神に祟りなしで、増税に賛成とは大きな声で言いにくいんですが、あえて言わせてもらうと、私はこの増税案にある意味では賛成です。というか、基本的な酒税負担の考え方に対してと、限定したほうがいいでしょうが。要は、従来業界の発言力により税の負担額が上下したり、とりやすいところやおとなしいところからとって来た大蔵省の今までの酒税徴税の歴史の結果、複雑で課税の根拠がわかりにくかった酒税を蒸留酒(ウイスキーや焼酎)と醸造酒(清酒・ビール・ワイン)の二本立てに単純化するというものです。

ただし根本的なところで気になります。

それは国として使いすぎに対する反省が一つもなしに増税案を出してきたことです。公平に見れば、税の負担割合の見直しで十分で、増税するほどの必要はないような気がします。どうせ外資に安く買い叩かれる金融機関への焼け石に水補填や補助金などの地方における使われ方などいい例です。特に、補助金に群がる土建業界や町おこしコンサルタントなどの行状。その結果として起こる地域住民のモラルハザード。

いけないいけない、地方のあり方を提言するメルマガじゃないんですが、ついそっちへ話が行っちゃった(^_^;

だけど大蔵省は言い出したからには、大騒ぎしましたが結局落としどころは発泡酒の増税狙いでしたなどといわず、ぜひ主張を貫く努力をして欲しい。そして、国民から納税される大事な税金です、ちゃんと使い方まで明示して国民が納得するまで説明してください。それと、酒造組合などの業界団体の事務局や大手ビールメーカーなどとだけ密室でやり取りして、決定するような、どこかの国の首相選出劇のようなことはやめて欲しい。(もっとも、あれはあれであの時点では仕方がなかったような気もしますが。それならそれで反論を受けて立ってそのことを国民にわかるように説明しなくちゃ)いけないまた横道にそれちゃった。

私がいつも言っているのは、本当に国のために必要な税であれば、応分の酒税負担による価格アップの結果による売上減の可能性も覚悟します。ただし、清酒も酒税や原料米の国際価格の問題などで他の酒類とイコールの土俵で戦わせてもらえるなら我慢するよということです。

その代わり変な清酒業界保護策もいりません。ただし不平等は困りますよ。

清酒業界は農業保護の美名の下、国のご都合主義により、国際的に品質と価格のバランスから言うと不当に高い米を使っています。それを「アルコールを添加することを許す」なんて鼻薬をかがされて我慢させられています。酒税もイコールなら原料ももちろんワインやビールなんかとイコール条件で。もちろん、その上で山田錦のように品質の優れた米を価格が高いのを覚悟で使うのは酒蔵の勝手です。私どもが使用する酒米のほとんどが山田錦なのはつまり優れているからです。「もし、オーストラリアでいい米ができたらいつでもオーストラリア米に変えます」なんて憎まれ口をたたいていますけど、なかなか日本の山田錦にかなう米なんて出てきません。ぜひ、日本の農家も票の圧力で自民党を操作して、普通の米を高く売ろうなんて努力に血道をあげるんじゃなしに品質で自分たちの作った米に価格がつく努力をして欲しい。

と、ここまで書いて、台湾に出張しちゃいました。この出張は日本銘酒倶楽部がWTO加盟後の台湾への日本酒の紹介のために開く試飲会に参加することを目的として参加した出張だったんですが、その4日間の台湾出張を終えて、ただいま帰りの全日空の機内で本日(12/2)の日経新聞を開いたら、なんと、一面に増税取りやめの記事。このままじゃ選挙に勝てないと踏んだ自民党が大蔵省をねじ伏せたようです。こういうときは自民党も大蔵省に強いんだね。日頃は言いなりの癖に。だけど、選挙のご都合で一国の税制の方針が簡単に変わっちゃうようじゃ、この国の将来も暗いし、日本の国のかなえの軽重を問われる。

日本の国が国際社会から尊敬される状態にならないと、日本の文化も世界に受け入れられないし、そうなれば日本酒が受け入れてもらえる可能性は無に等しい。

今回は最後の結論が国際社会の中の日本酒の話になっちゃいましたが、台湾に出張中、清酒の蔵元として、いろんなことを感じました。その話と台湾出張中の失敗談やエピソード(えっ!! あの「郷の誉」の須藤社長がなんと!! むふふ・・・!! ある美人の告白!! なんて話)は次回にしたいと思いますが、一緒に行った南部美人の久慈さんがすでに自社のホームページ上できっとライブ中継されていると思いますので、興味のある方はそちらもどうぞ。次回こそ、楽しい、メルマガになると思いますので、今回はすいません。