前回のメルマガでご案内しましたニュー新橋ビル地下お宝処なかむらで開かれた「獺祭VS津軽三味線の会」に行ってまいりました。私も客で!!

15分ほど前にいくと、なかむらのご主人がニコニコしながら話すのに、「今日はね、藤田三保子さんが来るよ」との事。

「藤田三保子さんって、あの」とは私の言葉。若い方のために説明しますと、NHKの朝の連ドラ「鳩子の海」で主役を務めた女優さんです。このドラマは山口県の大畠が舞台で、太平洋戦争の戦時中と戦後の混乱期を生きる一人の女性の青春を描いたドラマで、子供時代を演じた斎藤こずえさんの愛らしさと共に評判になったドラマです。その後藤田さんは「Gメン75」に女性刑事役で出たり、私たちの年代にとってはちょっと気になる女優さん。(会社に帰って「鳩子の海」ではわからないだろうから「Gメン75」って言ったら、それでもみんな知らないんですよ・・・・・。当たり前か、うちの連中がみんな幼稚園か保育園・下手したらそれに上がる前の頃ですからね。)

そうこうしてる内にうわさの藤田さん本人到着。私が二番目の到着ですから三番目。必然的に席は私の隣。「ヤッター!」

そうするとこの隣に覗くひざ小僧があの「Gメン75」のオープニングで夕日を背負って前方から歩いてくる婦人刑事(オンナデカ)のミニスカートからすらりと伸びていた足なんだな、と・・・・・うーん!・・・・。(すいません。品が悪くて。このメルマガの品位が上がるときは果たしてくるのか?)

ということで、会当日の盛況とこの幸運ににやけた私の姿と、相変わらず美しい藤田さんの姿(残念!手で顔が隠れてる)が写った写真をホームページ( http://asahishuzo.ne.jp/ )の最近のアルバムのページに載せておきます。

ちなみに藤田さんの名誉のために話しますと、当日聞いたところでは、最近は女優業の合間に俳句を良くなさって、絵も油絵をお書きになる、それも個展を開くぐらい、非常に多才な方で、決してきれいなだけの女性ではなかったことを報告します。2〜3日後に達筆の礼状を頂いて絶句。・・・・・筆不精の自分を・・・、反省。

勿論、津軽三味線は良かったですよ。音楽と酒って相性は良いんですが、クラシックの場合は真剣勝負で演奏している奏者の姿を見ていると、シューベルトやモーツァルトを侍らせて晩餐を楽しんだときの王侯貴族の個の域に達していない当方としてはおちおち酒を飲んでられないうらみがあります。もっとも誰かに言わすとそれは音楽をものすごく立派なものにしちゃったベートーベンの責任で、それまではもっと親しみやすかったんだという人がいましたけど。

ま、とにかく津軽三味線は杯を置かなくてもいいのが良いですよね。と、言うか酒と対抗しようとしないとこが良い。反対にすっとなじんじゃう。ジャズと煙草とバーボンみたい。よく、「酒は日本語でラベルが書いてあるけど品質も日本語ですよ。ただフルーティと片付けられる純米吟醸酒の香りも、その中に知覚出来ないけど、子供の頃から嗅いできたお米の炊けるにおいとか醤油の香ばしい甘い匂い、良いお酢の持つふくよかな香りなんかが入っていてあの香りを構成しているんですよ。だから日本人にわかりやすいんですよ。」なんて言ってるんですけど同じDNAを感じる音でした。


▼蔵元の師走

12月は一番酒の出荷量の多い月です。ただ、昔のように節季が来たから何でもかんでも儀礼で相手の好みも考えず一級の二本入りを贈っとけば良い「それじゃ、三河屋さん、こことあそことあそこに一級の二本縛りを届けといてくださいね。うん、銘柄は何でも良いわよ。別にお酒に変わりは無いんでしょ」なんてギフトがはやらなくなっています。

この結果、日本酒全体としては売上減が業界の大きな問題になっています。ただ、この最近の傾向を見ていると、わけ有りギフトというか、「あの方はこんな酒が好きだから贈ろう」とか、「自分の探したこの酒を贈って上げよう」とか、他人にあげるんじゃなくてがんばった自分の慰労にマイプレゼントとか、お酒にこだわって、贈られる方が酒屋任せにせず、はっきり品選びに関わるギフトが主流になっています。そういう意味では今の消費者が正常進化したと思えるんですが。

ま、そんなこんなで12月、このメルマガが配信される頃が酒蔵も一番忙しい時期を迎えています。お客様が美味しいと思う酒を造ることがうちの酒蔵の使命なんて言って他のことにけつの重たい私も当然この時期は空いてる時間は包装と出荷担当のお兄さん(?)です。

勿論うちの女房も同様です。

で、晩飯は今日もコンビニの惣菜とおでん。(惣菜は砂糖が多いから酒と合いませんが、おでんは大丈夫ですね)だけど、本当に美味しい酒を造りたい、そのお酒をお客様に理解していただくためにはお客様の食生活も大事になってくる、金がかかってなくて良いから心のこもった食生活を続けることが大事なんて言ってる蔵元の主人の夕食がコンビニの惣菜とおでんじゃねぇ。