日本テレビの番組に「天声慎吾」という番組があります。そう、あのスマップの香取慎吾が主演するバラエティ番組ですね。この番組に「獺祭」が出演することになりました。番組の担当ディレクターが獺祭磨き二割三分の価格を私どもに聞いてきたので分ったんですが。

最初の私の反応は、「これは宣伝になる。ラッキー!!」というものでした。ところが、これが大変な悩みの種だったんです。

と、言うのは・・・・・。早速、例によって先週、どんな番組か事前にウオッチいたしました。すでに新シリーズの「グルメ王決定戦」が行われていました。それはこんな内容でした。

第一回はうなぎ対決です。覆面で並べられた日本橋の老舗うなぎ屋のうな重(一人前7000円!!)と、スーパーで買ってきた700円のうなぎを、香取慎吾以下5人の出演者が食べ比べて、どっちが本当の7000円のうな重か当てるというものです。

内容は面白い。大笑いしながら番組を見ていて、ハタと思い至りました。「と、言うことは、酒も覆面で当てっこか。」「と、言うことは、獺祭の磨き二割三分ということは、この酒の小売価格は一万円だから、当然うちの酒が高い方で、他社の対抗の酒が安いほう。」「番組の構成上、あまりにも簡単に分ると、成り立たないので、二千円程度でかなり良いのが出てくるに違いない。」「と、言うことはみんな判断を迷うに違いない。」「もしかすると、5人の出演者が全員、こっちの酒のほうが美味いから、こっちが獺祭、と言って安い他社の酒を推すかもしれない。」「ウワァー、悪夢じゃーぁ!!!」

皆さん、私の恐怖に同感していただけるでしょうか?

番組は日本テレビから、山口県内は山口放送から10月6日の日曜日16:20より放映するそうです。奇しくも、10月6日はフルネット主催の純米酒フェスティバルが椿山荘で行われていて、私も出席しています。後はこの会の二次会にはつらつとして出ていられる結果(?)を期待してください。「あー、心配だっ!!!」

(造りが始まりました。)
純米吟醸と純米大吟醸がほとんどの旭酒造の酒の造りは、例年9月から翌年6月までと他と比べて極端に長いんですが、今年も始まりました。(何せアルコールや三増で増量できないわけですから、造っても造っても追いつかないんです。)

今年も前期末に手当てしていた山田錦が入り始めました。(但し、昨年産の古米です。10月になってやっと刈り取り適期を迎える晩生米としての品種特性をもつ山田錦はこの時期間に合いませんものね。だからここ数年1千俵を超えてこの時期用の山田錦を手配しています。)

古米であっても、そろそろこの時期早稲で新米が手に入る五百万石などの他の酒造好適米よりはるかに優れているというのが私どもの判断です。(勿論価格も優れていますが。)

ただ、今年も全量はまかなえそうにないので早めに泣きを入れて、五百万石と雄町(こちらは古米)を2百俵づつ手当てしておきました。(と、いうことは今年も山田錦100%にはなってないんですね。)

だけど。早朝もろみの醗酵状況を見に蔵に入る時、深夜麹の進行状況を見に麹室に入る時・・・・・。いやぁー、ワクワクして、幸せですね。

純米吟醸のにごりだからこそ持つ華やかな香りと米の甘味、そしてそれをしめる発泡性の爽やかさが受けて、夏に純米吟醸のにごりが特に好調だったことを受けて、来年は夏も従来のように造りを切らず、造り続けると言ってるんですが、その理由はこういう個人的愉悦から来る決定要素もあるんです。

勿論、高価な製造関係の二重甑や遠心分離機などの機械をメンテ期間は別にして止めないほうが機械の耐久性を考えれば良いというあまり色気のない理由もあるんですが、一番大きな理由はこの個人的理由かもしれませんね。