この蔵元日記を読んでいる方で蔵元の関係者や知人にいると言う方がいらっしゃったらと思ってご案内させていただきます。一昨年の造りから全量、米の洗いが手洗いになっており、自動洗米設備が無用の長物になっていました。すでに浸漬タンクは外しておりましたが、今回、瓶詰場のレイアウト変更の余波で洗米機が邪魔になり、自動洗米機と洗米された米を甑に張るために使っていたベルトコンベアーを外しています。どちらも2~3年程度しか使っていないものです。必要な方がいらっしゃればお譲りしたいと思います。引取り手が無ければスクラップにせざるを得ません。

使い捨ての大量消費社会に違和感をもっている旭酒造が、こんなことをしているんじゃ言行不一致もはなはだしいと思っています。ですから使っていただけるのであれば対価は問いませんから、是非よろしくお願いします。

洗米機としては、「開運」さんが使っている限定吸水専用タイプを別にすれば、最新の機能を持っていると思います。ただ、私どもの場合は原料米は全量手洗いの方が吸水パーセントが特定しやすいと言うことから不必要になったものです。できたら第二の活躍の場を作ってやりたいと思います。(生来のケチの性で「もったいない」が先にたって捨てる気になれないんです。ベストセラーになった「捨てる技術」も読んだんですけどねぇ。)

ここからはこのメルマガを読んで頂いている皆様全てへのお話です。米の洗米はできれば手間のかかる手洗いなどせず、機械洗いのほうが能率が上がるのは自明の理ですが、吸水パーセントを1%以下の精度でコントロールしようとすると手洗いせざるを得ません。

但しこれはあくまで旭酒造の場合です。私どもも以前やっておりましたが、洗う前に米を加湿して5~6%程度米の水分含量を戻しておいて機械で洗う方法もあります。知り合いの酒蔵が機械で洗っているから手抜きというわけではありません。ご安心ください。また50%以下に精米された米の場合に有意差がでるわけで60%以上の精米歩合の米ではほとんど有意差が出ません。その場合はただかけた手間が人件費として原価に跳ね返って来るだけと考えてください。と、言うことは旭酒造に60%以上の精白の酒を造れと言われても、ただ高いだけの酒に我慢いただくという覚悟がなければいけないと言うことです。

旭酒造は純米吟醸と純米大吟醸に商品をしぼって、その意味では設備コストもしぼっているんです。このあたり二兎を追えば即座に原価コストが上がり始め、きっと5割程度の価格アップは避けられなくなると思います。

よく酒の会なんかで「旭酒造でも60%精白以上の純米酒や本醸造を造って欲しい」と言われることが有ります。聞いてもそっけない返事しか返さないのはこの理由があるからです。このクラスより黒い米を使って造る酒は旭酒造のような千石蔵じゃ無しにもう少し大きな蔵の方が結果として良い酒を低コストで造れると思います。つまり私どもがこのクラスの酒を造ることに社会的必然性がないと考えているんです。

こんなことで洗米機とコンベアの第二の嫁入り先を探しています。お知り合いに必要な方がいらっしゃれば情報を教えてください。

(乾杯と中締め)
最近乾杯と中締めの挨拶をご用命(?)頂くことが多いんです。前は「本日来ている全国の蔵元の中で最も遠い山口県から来た「獺祭」の桜井社長に一言ご挨拶をお願いします」なんてな調子で司会の方から振られることが多かったんです。

ところが最近はどうも違う。はっきりとは司会の方も仰らないんですが、どうやら年齢で決定されている節が見受けられます。おかげさまで私どもの業界でも近年蔵元の若返りが進み元気のいい蔵が増えてその意味では良い傾向になってきているんです。だけど、そのおかげで、昔は私も若手のホープ(???)だったのに、今じゃ53歳にして一番年上だったりするんです。とほほ・・・・。

だけど若さは絶対年齢じゃありませんよねぇ。ご同輩。(団塊の世代。その前後の世代。及びもっと上の世代。とにかく柔軟な心と精神は年齢と関係ないと思っている全ての方に。)

頑張りましょう!!!