先日山口大学経済学部の学生が古川教授と一緒に酒蔵を訪ねてくれました。この古川ゼミのテーマが山口県内の伝統産業の活性化と将来のあるべき方向性を探るということだそうで、その研究の一環として実際に県内の酒造家がどういう状況にあって何を考えているかインタビューしようということだったようです。
いただいた質問に「今、若者は日本酒離れしているが、この事に関してどのような危機感を持ち、どのように対処しようとしているか?」という問いが有りました。
私の答えは「若い人に何も今飲んでもらおうと思わない。若い人たちが日本酒を飲むことがかっこ良いと思ってもらえるようにならないといけない。」「だから、今の若い人が将来それなりの所得を取れるようになって、そのとき飲むことを憧れる酒になりたい。」「今はチューハイで良いんじゃないの(意地悪じいさん・これ、言わなきゃいいのにねぇ・・・)」というものでした。
さすが、国立大学で優秀なんだと思います。ゼミの学生の皆さんもこれで私どもの考え方を理解してくれたみたいでした。ちょっと辛口ですがこれで良いと思っています。何も若い人に擦り寄り機嫌をとるばかりが能じゃないですから。
だけど、これは話しながら自分でも気が付いたんですが、結局海外でもやろうとしていることは同じなんですね。アメリカ人から見たとき、香港人から見たとき、台湾人から見たとき、日本酒を飲むことがかっこ良くうつらないとだめだと思います。
売ることが先にたっちゃどうしようもない。アメリカの郊外のスーパーマーケットに行くと、すでに進出している大手メーカーの日本酒(米国産?)が1.5リットル瓶で3ドルとか4ドルでワインの販売コーナーの隅っこの最下段に並べられている。これじゃ駄目ですよね。
前回の蔵元日記で「クールな日本」という話をしましたが「クールな日本酒」にならないと駄目だと思っています。今いくつかの地酒の蔵元が海外で苦労しているのは、つまりそういうことだと思います。それをやりたいから苦労しているんです。ただ、売るだけならこんなことしませんよね。ねぇ蔵元の皆さん。
▼ちょっと嬉しいこと
今日出先から帰った私に女房が「アーブ」という雑誌を見せてくれました。表紙を見ると「28歳からの女性のための雑誌」と書いてある。その中の折込別紙特集が「今ここでしか手に入らない25ブランドのトゥインクル小物」と銘うって「クリスマスに欲しいもの」の特集でした。プラダとかフェンディのミンクのバッグ(54万円・・・・!!私のアルファロメオが二台買える!!)と一緒に今年クリスマス限定で出荷予定の「獺祭・磨き・二割三分・発泡にごり酒」が取り上げられていました。
さすがファッション雑誌だけあって写真もきれいです。へへへ、フレグランスと一緒に並んでたりして華やかでちょっとうれしい。
「やっぱ、こういうのを読んでいる人に買ってもらわないとね。」なんてやに下がって雑誌を眺めてたら出荷担当の田中のおばちゃんに「そりゃ、社長の下心つきの願望でしょう。」と軽くいなされてしまいました。