私の愛車、例のアルファロメオが壊れました。JR徳山駅東の陸橋を走行中に大量の白煙とともにエンジンブロウを起こしアウトとなりました。修理費の見積もりを聞くとざっと60万ぐらい。26万8千円で買った車ですからさすがに直す気になれなくて「もったいない」とは思ったんですがあきらめることにしました。(ある人からは「あの赤いシートだけでももったいない」と怒られましたが:濃紺のボディにあわせて購入後大枚をはたいて真っ赤の皮シートに張り替えさせたんです)

ところで笑っちゃったのは次の車を決めるまで友人の自動車屋の社長ヒサちゃんに頼み込んで貸してもらったダイハツミラ。この軽自動車の室内に使ってあるプラスチックの質感がアルファロメオより良かったこと。だって、アルファロメオ164といえば一応イタリアでは高級車。それに軽の分際で勝つとは、さすがジャパニーズメイド!!

7万キロ走行の中古の軽でしたが、高速走っても十分で、「これでいいか」と思い始めたころ次を見つけました。5万キロ走ったローバーの2300cc、4ドアセダン、30万円なり、ワインレッドの車体にこげ茶のパイピングもかっこいいベージュのレザーシート、さすが大英帝国製、オールドワールド的雰囲気十分。(この値段むちゃくちゃ安いんですが、おそらく本国でローバー本社が倒産したのも影響した値段と思います)

早速この車を買ったことを吹聴しておりましたら、ある人から言われました。「あんたは外車しか乗らないんだね」

アルファロメオの前はそろそろ30万キロに届こうという天井の剥げたおんぼろのホンダでしたし、もう一台の車はこれも50万円で購入した10年落ちのマツダのスパイダーですからそうでもないんですが、しかし一般常識から外れた車の選び方であることは確かです。実を言うと、あまり高価な車に乗るとかっこ悪いという変な美意識(?)が私にありまして、周囲に苦労を掛けております。

たとえばよく聞くことですが、こんな話があります。「下取りが良いから車は白のトヨタ・マークIIを3年で乗り換えることにしている」・・・・ よく聞く話ですが、いつも思います。「どうせ車ってそこそこ金かかるのに、損をしないことを目的に買うんなら、やめたら」「好きなものよりまず損をしないことが先に来る、そんな人生つまんないでしょ、なんかバランス悪いなぁ」

そういう人に限って、最大の贅沢は車と家。外食はファーストフードとチェーンレストランしかなかったりするんです。もっと楽しい人生があるのになぁ。(この価値感が戦後日本の大量消費社会を引っ張り、経済発展の一大要因ということも分かるんですが・・・でも、そろそろ変わったら?)

話は変わって・・・・、フランスやイタリア映画華やかなりし頃、それでも少し晩年、アラン・ドロン(これも少し晩年)が少壮の実業家や政治家役で出てくるとき必ず役柄からするとちょっと安い車に乗っていました。そのちょっと安っぽいセダンにこれはいかにも高価な黒のカシミアのコートかなんか着て乗り込むわけです。えらいこれがかっこいいわけです。

これが原体験になっていて「安い車愛好症」になっているんです。(と、言うか偉そうに見える車拒否症)

そうそう、ここまで書いて思い出しました。あのローバーのワインレッド、どこかで見たと思っていましたが、アラン・ドロンが主演した「太陽が知っている」の中で結局殺される金持ち役のモーリス・ロネが乗り回すマセラティの色と一緒です。

ついでにドロンとロネが争うヒロインがロミー・シュナイダーで、そのシュナイダーのアッパラパーの娘役があのジェーン・バーキンです。バーキンと言やぁ、あのエルメスのバーキンのジェーン・バーキンですよ皆さん。特に奥さん。バッグひとつがもしかすると百万近くなっちゃうという。あぁ恐ろしい。

バーキンを買う甲斐性がなかったから神様がローバーを買わせてくれたんですかね、私に。これも安上がりの人生だなぁ。

アルファとローバー

ところで主観と偏見に満ちた両車のインプレッション。アルファはクラウンに乗っている人から見たら「なんともぼろだなぁ」ということになるんでしょうが(ま、ほんとにぼろです)、乗ったときにこちらへ訴えてくる制御された官能性(?)の高さ、なんというかオペラの一節を聞いているよう。

ということになると、ローバーは大英帝国代表としてシェークスピアでも朗読するということになると良いんですが、これが残念ながらそこまでいきません。ま、言えば、良く出来た日本のテレビのドラマといったらテレビ関係者に怒られるでしょうか? よく出来ているんですが、何か蓄積が足りないのと、エッチさが足りないんですね。どっちも気合は良い具合に抜けているんですけど。

でも、まあ、あの内装だからいいか。