蔵ひよこ日誌第4回 / 秋の獺祭の会のお礼と獺祭の種類とニューヨークについて

皆さんこんにちは!久々のひよこ日誌。久しぶりすぎてなんだかすごく緊張しちゃいます。

先日、「秋の獺祭の会」として、獺祭全アイテムを皆さんに飲んでいただく会が有りました。非常に大勢の皆さんにおいでいただき(150名も!)、獺祭、お酒についての色々な話をすることが出来、大変貴重な時間を過ごさせていただきました。この場を借りて、おいで頂いた皆様にお礼を申し上げさせていただきます。本当にありがとうございました。

さて、その席上でご質問が有ったのが、獺祭のラインナップについてです。この獺祭はどんなお酒なのか。この獺祭とあの獺祭はどう違うのか。等々、恥ずかしながらご質問を頂いて、自分でもはっきり完全に区別して考えていたわけではないなということがわかりました。

そこで、この際ですので、獺祭の全ラインナップについて、簡単に違いを説明してみようと思います。

1.獺祭 磨き 二割三分

山田錦という酒造好適米を23%まで精米した(77%を削った)、日本最高峰の精米歩合を誇るお酒です。日本酒を余り飲んだことが無い人に勧めてあげて欲しいお酒です。

2.獺祭 磨き 三割九分

精米歩合39%、味わいと香りのバランスが良く、獺祭はこれが一番好き、というお客さんも良く見かけます。

3.獺祭 純米吟醸 45

純米吟醸として、通常の商品よりワンランク上のものを求めた商品です。米の磨きも品質も純米大吟醸として通る酒です。精米歩合45%

5.獺祭 寒造早槽48

寒造早槽とは冬にしぼった酒をしぼりたてで出荷したもののこと。冬季(11月~3月)限定、山田錦/レイホウを使用してつくったしぼりたてです。うっすらとオリがからんでいます。精米歩合48%

6.獺祭 純米吟醸 50

旭酒造の一番のスタンダードなお酒です。獺祭の特徴であるきれいな甘さを味わうことに適しています。酒質対価格のコストパフォーマンスには自信が有ります。

7.獺祭にごり酒

にごり酒の楽しみは、できたてのうまさ。爽やかな香り、微妙な発泡性にごり酒だからこそわかる山田錦ならではの米の甘み、精米歩合50%が作り出すすっきりした後味を味わってください。ちなみに、このにごりの発泡性は、瓶内でまだ発酵の最中で有るため に生まれています。お飲みになるときは良く冷やして。でないと中身が噴出してしまうかも知れません。

8.獺祭温め酒50

通常の獺祭の製法とは、異なる造り方で、お燗に合わせてまるみとふくらみを味わいの中心に据えて醸した酒、お燗のできる純米吟醸酒。40~45度位で飲むのがお勧めです。

9.獺祭聖夜限定にごり

クリスマス限定発売の獺祭磨き二割三分のにごり酒。すっきりとした味わいと、発泡性。初めて飲んだ時のインパクトは大きいです。

10.夏仕込しぼりたて

一般的な蔵では、冬にお酒を仕込んで、それを春に上槽した後、夏を越すまで保存したものを出荷します。それをひやおろしと言い、初秋の日本酒ファンの楽しみです。旭酒造では年間を通しての酒造りを行っており、ひやおろしというものが有りませんが、夏に仕込んだお酒を晩夏に上槽した、このお酒を皆さんに楽しんでいただきたいと考えております。ひやおろしとは違ってフレッシュで若々しい印象のするこのお酒を、残暑払いの意味も込めて、お楽しみいただきたいと考えています。

11.おりがらみ

お酒を絞った後、まだお米の成分(オリ)が残り、うっすらと霧がかかったようになっています。通常はオリが沈殿するまで期間を置いて、それから出荷するのですが、そこをあえてそのまま出荷したお酒です。通常の獺祭より味が濃く、濃厚な感じです。

12.遠心分離とは

通常ヤブタや、槽という機械を使い、お酒に外的な圧力をかけて搾るのですが、遠心分離機は、1分間に何千回転もの回転をお酒にかけ、酒かすとお酒を分離させて搾ります。ヤブタ等で搾った際にわずかだが感じる機械についている袋香・ゴム臭などの匂いがつかず、また、無理に外的な圧力をかけるわけではないので、お酒の味の組織が壊れにくいなどの利点が有りますが、1度に大量のお酒を搾ることは出来ない(通常の搾り方の10分の1程度)という欠点があり、全てのお酒を遠心分離機で搾ることは残念ながら出来ないのが現状です。

13.生酒とは

上槽したお酒を瓶詰めして出荷する前に、中のお酒が変質しないように通常熱殺菌を行うのですが、それをしないで出荷するお酒です。長期間保存、常温保存などには非常に不向きなのですが、そのぶん搾ったお酒そのままの、非常にフレッシュな味わいがあります。

ニューヨークについて

話は変わりまして、先日ニューヨークに行ってきました。話に聞いていた以上にニューヨークに地酒という存在は浸透しています。和食レストランだけで無く、創作料理レストラン、フランス料理レストラン(嘘じゃないですよ。某有名フレンチレストランで実際に飲みましたから。)など、様々なところで地酒を見かけることが出来ました。ひょっとすると下手な日本の都市部より、多彩な銘柄があるのでは!?などと思ってしまったりします。

しかも、各蔵が自分のところの自信作(売れそうなお酒)を輸出する傾向が有るので、凄く美味しいお酒がニューヨークには集まっていると思います。

また、日本酒を飲んでいる客層も、日本人系以外の割合がかなり高く、(店にもよりますが、日本酒を飲んでいる日本人以外の比率はざっと30~70%くらいでしょうか)本当に驚かされます。

ただ、ちょっと気になった部分が・・・・

「ん?日本酒かい?」「色々見るんだけどいっぱい有りすぎて違いが良くわからないんだよ」「全部飲んでみるのも大変だし」「どれがいいんだい?」これは、あるレストランで隣に座ったカップルと話していたときに聞いた話です。(自分が英語はあまり得意でないのでもしかしたら全然別の、趣味の話とか自分の彼女のノロケ話とかしていたのをこんな風に聞き違えていた可能性も無いとは言えませんが)

急速に地酒が広まったために、どんなお酒がいいのか?どんなお酒があるのか?自分はどんなお酒が好きなのか?が、まだまだニューヨークの人達には理解が追いついていない部分が有るのではないでしょうか?

今後の課題は、そんな状況の中で、日本酒に対する理解度をどうやって高めていくか、そして、その中で獺祭がどうやって目立っていくか(これ大切!)です。

・・・そのためにはある程度英語が話せることが絶対に必要な気がします。

・・・頑張れ!俺。

それではまた次回のひよこ日誌で。