あけましておめでとうございます。

アメリカを中心とする海外での日本酒ブーム、国内での景気回復に起因する高級酒の伸張。

おかげさまで順調な一年を昨年は越させていただきました。このようなときこそ更なる高品質に挑戦したいと思います。お客様が「あぁ、美味しい!!」と思われるお酒であることに、「獺祭」は全てをかけます。今年もよろしくお願いします。

おかげさまで海外への輸出国も最後の12月20日に初出荷したアラブ首長国連合のドバイを入れて八カ国を数えるまでになりました。その中でも数量的にも最も多く、台湾と並んで将来とも最も重要な輸出相手国になりそうな米国相手の輸出も大きな進展を得た一年でした。

そのアメリカにPGA(プロ・ゴルフ協会)という団体があります。名前のとおりプロ・ゴルファーの団体で、アメリカのゴルフ界で非常に大きな力を持っております。このPGAの公式推奨酒として獺祭の純米吟醸が認定されました。PGAによりますと今年一月のハワイ・オープンから始めて全米のツァーで紹介していく予定だそうです。

最終的には全米に12000(!!)のコースがあるそうですが、それに付属するレストランにPGAの公式推奨酒としてワインやシャンパンと同様に売り込む予定だそうです。

実を言うと私はゴルフをしません。昔はちょっとしたこともありますが、それもこのホール何打打ったか数えられない程度のへぼゴルファーでしたからPGAなんて知りません。最初「推奨酒に「獺祭」を採用したいんだけど」というお話が来たときは「何で洗剤メーカーが酒を売るんだろう?」と不思議に思ったぐらいです。(P&Gと間違えてたんですね)

その上PGA独自のラベルをつけたいという申し入れ。最初は断ろうかと思いました。(アメリカであろうと東京であろうともちろん地元山口であろうと「獺祭」は基本的に同じ顔を持ち同じ品質であるという基本的な私の考えがありますから)

しかし、考えてみるとこの申し入れはすごいことです。ゴルフというスポーツは欧米において白人社会を代表するスポーツのひとつです。アメリカを見ていて思うんですが、彼らの社会は表向きは別にしていまだに白人中心社会です。東洋人には入り込めないコミュニティもサークルも厳然として存在しています。そんな中で彼らが日本の酒を自分たちの酒として意識し始めたということです。数年前なら考えられないことです。(また、数年後にはうまくいけば「獺祭」以外にも複数の銘柄が公式の認定酒として入っているかもしれません。旭酒造としてはライバルが増えるんですが、日本の酒にとってはそうなれば喜ばしいことです。)

と、言う経緯をたどって(ほんとはもっといろんなドラマがあったんです。お互いの意見の一致点が見えず中止寸前まで行ったこともあります。それもやるからには良いものをというお互いの考えがあったからです。)PGA用の「獺祭」の出荷がスタートしました。皆様、アメリカのゴルフ場のレストランで「獺祭」に出会ったときにはよろしくお願いします。

二番目の話の、「磨き二割三分」や「磨き三割九分」などの純米大吟醸クラスの伸張は、八月ぐらいからなんとなく気配がみえ始め、十月ぐらいから伸びが顕著になりました。実を言うと最初は焼酎ブームの退潮の影響かと思いました。しかし、どうやらそうではなく国内の景気回復が大きな要因のようです。久しく我慢していたんだけどここら辺りで「我慢して安い酒しか飲まなかったけどそろそろ飲みたい酒を飲むか」と懐の紐を少し緩めたというのが妥当な見方のような気がします。どちらにしても経済評論家たちに言わせればこの程度の実力は日本経済は持っているといわれ続けていたんですから、それなりにこれはプラスの循環に入ったということをあらわしていると思います。

しかし、バブルを経験し、崩壊後には低価格でなおかつ高品質な商品をチョイスする目を養った現代の消費者の目は確かです。(曇っていれば供給側としては楽で良いんですけどねぇ。残念) 常にその選択のテーブルにノミネートされるお酒であり続けられるよう、お客様の「あぁ、美味しい」の一言を求めて、単純に・一直線に・例によって直球勝負で、努力したいと思います。

今年もよろしくお願いします。