You say, to me-wards your affection's strong; pray love me little, so you love me long.Slowly goes far: the mean is best: desire, grown violent, does either die or tire.

「情熱の、炎を燃やす、とおっしゃるが、願わくば、少しでいいから長~く愛して。ゆっくり歩けば、遠くへいける。人生は、ほどほどこそが、最良なり」、云々

Love me little, love me long「少し愛して、長く愛して」という詩があって、16-17世紀の詩人Robert Herrickの作だそうです。詩の素養のない私としては、団塊世代の叔父さん憧れの大原麗子がサントリーの水割りの宣伝でつぶやくフレーズしか知らなかったんですが、本文はこうだそうです。実は、包装資材等でお付き合いのある喜多産業の社長の90周年のご挨拶からいただいて取ってきたものです。

あまりに私の気分にぴったりだったものですから、流用させてもらいました。思い出してみると、私は常にこの詩のようなことを話してきました。「軟派で行こう」とか、「いい加減だけどしつこく」とか・・・・。 どうも自分でも、ひねくれてるんじゃないかと思うんですが、「極寒の寒中に気魄を込めて作業する」とか、「一生懸命」とか、「精神力で頑張る」とか、あんまり好きじゃないんです。

社員にもよく「眦(まなじり)を決して頑張るなんて考えなくていいから。シラーッとルーチン・ワークを毎日こなしていけばいいから。それで良い酒が出来る設備と技術を追求する環境を準備するのは社長の責務だから。何の準備もなくて悪い環境の中で頑張る感動の酒造りなんてあるわきゃないよ。」と話しています。

思い返せば、酒造りの世界でも、いっぺんもきちんと成功したことがなくて、だけどあきらめきれず、しつこくダラダラと歩き続けてきました。(最近は開き直って、「飽きずに続けられる、それがプロだ」などと自分に都合の良いことを社員には話していますし、「敗者復活戦は必ずあるから」と友人には話しています。全部自分に都合の良い解釈ですね。)

だからひねくれてこんな考えになったんですかね。

もっとも、昔から思うんですが、男という生き物は女性と比べてなんとも優柔不断なくせに執念深いように感じますので、その意味では私は「充分に」男らしいのかもしれません?!?!

最近心に残ったフレーズは、「がんばらないけどあきらめない」です。あきらめず、「獺祭」との長い付き合いをよろしくお願いします。

(蛇足というか暴露)

ほかによく社員に言う言葉に「うちの酒造りは草野球と一緒」と言う言葉があります。普通ピッチャーはバックを信頼して打たせてとることを考えますが、草野球のへぼチームではいったん前に打たれるとみんなトンネルしてホームランになってしまいます。

だから、うちのスタッフは全員自分たち個々の持ち場で相手から三振を取ってもらわないといけないと言ってる訳です。「絶対に・・・・・、社長を信頼するな!?!?!」と。これって・・・、上の話とまったく矛盾した話ですね。状況に応じて、これを平気で社員の前で話しているんですから社員も大変です。

「他人に厳しく、自分に優しい」と自他共に許す(注)旭酒造の社長の面目躍如たるものがあるでしょう? こういう社長にあわすことの出来る社員と「お客様!!!」に囲まれていると感謝しています。 

ありがとうございます。出来の悪いのはわかっておりますが、あきらめず、少しでも良いお酒を提供できることを目指しております。これからもよろしくお願いします。

(注)10数年前の私の名詞には「春風接人、秋霜臨自」と書いてありました。そうありたいと書いていたんですがあまりの実際の違いぶりにやめました。これも長く、あきらめずに、いつかは載せられるように、努力します。