以前から私を良くご存知の方はこの数年でずいぶん痩せた事に気が付かれた方も多いかと思います。その頃、糖尿病と診断され、それから軽い食事制限をしているからです。おかげさまで、周囲の皆からはスリムになったとか若くなったとか言われて悦に入っております。さらに、副次的な効果は、再び洋服のY体というかMサイズが入るようになって、高い背広なんて買わなくてもその辺の吊るしで十分になりましたし、お腹を隠せるツータックのチノパンをはかなくてもジーンズでも何でも再びはけるようになったこと。(糖尿病は財布に優しくてスタイリッシュになる?)

最初、糖尿病と診断されて、やっぱりショックでした。成人病として一番よく聞く病気ですし、第一「こんなオッサン臭い病気なんかやだ!!」てなもんです。

お医者様のところに行ったら、食事制限の専門看護師のところへ行くように言われ、そこであろうことか「アルコールは糖尿病の敵だからやめるように」と言われました。これはおそらく「患者は飲酒量をコントロールできない。必ず飲みすぎるので、最初から全く飲まさないほうが良い」という考えから来た話だろうと思います。

これ、日頃から、「酔っ払うための酒だったらうちの酒飲まなくて良い。なぜ、客は品質に目をつぶっても量を飲むことを選択するんだろう。またそれは社会組織としての良心にもとることを承知でメーカーは客をあおり続けるんだろう」と考えてる旭酒造としては納得できる話じゃありません。「酒をやめるつもりはありません。その上で血糖値をコントロールします」と宣言して看護婦さんを呆れさせました。

実際、お酒はやめずに、結果としてそれなりの血糖値(糖尿病患者の理想値ぐらい・直ったわけじゃありません・糖尿病は花粉症と一緒で治らない病気と言われてますから)におさまっていますんで、勝手に納得しています。

ただ、このとき、看護婦さんの話で面白かったのは、「血糖値の上昇を防ぐのにはなるべく精選されてない形の炭水化物が良い」というものでした。つまり「砂糖よりは白米、白米よりは玄米が良い」というものです。その意味で、お菓子はご飯より問題ということです。つまり、微量栄養元素がなくて単純に糖に近い組成のものほど簡単に体内に吸収されやすく体内の血糖値の急上昇を制御できないわけです。

と、すると・・・・・、よく糖尿病の方が言う「焼酎は飲んでも良い。なぜなら、日本酒より焼酎のほうが糖が少ないから」という話、変ですねぇ。日本酒やワインのような醸造酒を蒸留してより精選されたものが焼酎です。より精選されて、体内吸収が早く血糖値の制御が効き難い物が良いというのは変ですねぇ。糖があるからって言ったって、酒における糖の割合なんてアルコールのカロリーからすればたかが知れてますが。

ま、どっちにしても焼酎なら飲んでもいいとか日本酒は・・と言うんじゃなしに、一定のアルコール度数に換算してどれだけ飲むかの話と思います。何を飲んでも飲みすぎれば百薬の長にはならないように思います。

ところで、それで、お前の食事制限ってどのぐらいだと言うことになりますが、大体一日2,000kcalぐらいです。朝はマクドナルドでビッグマックのモーニングセット、昼はコンビニの持ち帰り弁当、夜は焼肉、最後の仕上げに深夜の餃子とラーメンとやってりゃとても収まりませんが、まあ、普通に和食を食べていれば外食でもおさまる程度。と言うことは、反対に言えば、むやみやたらに何でも食べたり飲んだりしているとやっぱり調子が悪い。酒だって家で飲むときは精々1.5合くらい。(注)

要は食べられる量・飲める量がやっぱり限られてきますので、そうすると、人間って意地汚いもので、量が追及できないとなると代替作用で質になります。とにかく自分の気に食わないものはいやになります。特に不味い酒。これを我慢して飲むことは本当に苦痛になります。「何で、こんな酒、ここで飲まなきゃいけんの。糖尿病と知ってて嫌味でこんな酒を出してきたんかいな。ワシャ、生涯で飲める酒なんて限られてんだぞ」なんて。

ところが、地元のいろいろな会合に出るとそんな酒が多いんです。大体が会場側のホテル等が仕入れの都合で準備したビールと水割りだけ。いくらきれいなお姐さんに勧められてもねぇ。「何が悲しゅうて、こんな酒飲まなきゃいけんの」

なかには日本酒が準備されている会合もあって、「こちら、酒蔵だから、日本酒しか飲まれんのでしょう」なんて日本酒を勧めてくれるんですが、これが大体ひどい酒。くさいし、えぐいし、ひねてるし。これが、また悪いことに他社の酒のことが多いですから批判なんかしようものなら、「あいつは自分とこの酒じゃないから悪口を言った」と言うことになります。言われなくても他社の酒を非難するのは抵抗があります。尤も、これが自分とこの酒だった日にゃ、もっとショックですが。(残念ながら、そういうこともありました。

ただ、これはショックですけど、文句の持って行き場がはっきりしていますから自分なりには割り切れます)

しょうがないから、「ありがとうございます」なんて人前では注いでもらって、横を向いた隙にどこかに杯をやっちゃう。こういう会合に限って料理もフライと揚げ物と砂糖甘いおひたしとかの一見豪華だけど糖尿病患者には食べられない物ばかりのオードブル料理。だから糖尿病になって顕著になったのはこういう会合にほとんど出なくなった事。こうやって私のスリム度は推進され、人間関係は壊れて行っているわけです。

(注)ある先輩によりますと、「飲みすぎは良くない。酒と女は二合(号)まで」(指三本で有名な宇野総理の言という説もあります)と喝破されております。と、すると私は酒が1.5合ですから、女性は妻のほかに1.5人まで、つまり2.5号まで許されると言うことになりますでしょうか(こら!! こら!! こら!!!! そんなわけないだろ!!!!! )