あけましておめでとうございます。

一昨年より私が杜氏兼任をやめ、製造課長の西田(昨年10月より取締役製造部長)に杜氏役を名実共に譲りました。おかげさまで若い力で造りも順調です。もちろん例によって問題は山積です。昨年も搾ったものの合格点に達してなくてブレンド用にまわった仕込みが何本かありました。しかし、問題としているレベルが一昨年までと比べてぐんと上がって、はるかに上のレベルでランク落ちかどうかを決めています。やっぱり、杜氏交代は成功でした。

実は、これを「沈む夕日」(私個人)と「昇る朝日」(旭酒造の若いスタッフ)として対比させて話す事が多いんですが、そうすると喜ぶ方が多いのはなぜなんでしょう。(友情には
恵まれてないようで・・・ いや、正直な友人・知人に恵まれているのかも)

好調な造りを反映するように販売も、国内も海外も好調な一年でした。私たちは「お客様の生活を破壊してまで、量を売る酒蔵商売はしたくない」と言い続けてきましたが、それが反対に昨今の飲酒運転等の問題から巻き起こった飲みすぎの弊害などに厳しい社会意識の変化と合って、何が何でも量を飲ませて売り上げを確保しなければならないナショナルブランドメーカーの売り上げ不調と反比例した結果を出せたのではと思います。

また、新年早々、雑誌「食楽」(徳間書店)の日本酒特集で「獺祭 磨き 二割三分」が一位をいただき、ウェブ上のランキングサイト・楽天の「日本酒物語」の人気ランキングで
「獺祭」がブランドとして一位になるなど幸運な一年でした。特に日本酒物語のランキングはわたしの誕生日の一週間前に一位と二位が入れ代わるという、ドラマチックな展開で、私にとっては最高のプレゼントでした(蔵元;桜井博志・しかし、この後一ヵ月後にまた入れ替わりました。恐るべし「十四代」・お客様も厳しいですねぇ)(追伸:12月28日にまた一位に返り咲きました。うーん・・・・、手に汗握るなぁ。だけど、皆様、ありがとうございます)。

しかし、お客様の「あぁ、美味しい」の一言を目指して酒質を追及する姿勢は昨年も今年も、そしてこれからも、一位になろうと二位になろうと、決して変わりはありません。

なぜなら、私どもの商品ラインの中でも「良く出来たなぁ」と思える酒がより伸びて、「ちょっとなぁ」と思う酒の伸び様が鈍いという、お客様の厳しい選択に常に直面し続け
てきたからです。お客様の選択の、厳しく、振れはあっても、大まかなところで正しい選択をする姿を目の当たりにしてきました。

昨年の日経新聞の一面のコラムに良い言葉を見つけました。「一人の人を長くだますことは出来る。多くの人を短期間だますことも出来る。だが、多くの人を長くだますことは出来ない」(リンカーン) 旭酒造の本音です。

これからも「獺祭」は変わりません。今年も「獺祭」をよろしくお願いします。