実は、前にお話したロンドンの日本大使館での日本酒の試飲会の席上、アイルランドの日本大使館の関係者も見えていて、「アイルランドで日本酒を売ることはできないか」という話をいただきました。
ただ、IT産業で日の出の勢いといわれるアイルランドも一般的な目からすれば中国やロシアなどBRICS各国のようには認知はされていないのが現状です(大前研一なんかによるとはるかに良いと評価してますけどね)
この状況で自社のことだけならリスクは取れますけど、他社にはまだ責任はもてない。「絶対成功するから行こう」とは言い切れないところです。他の酒蔵に「アイルランドはどう?興味ありませんか?」と聞いてはみるんですが、こちらの腰が引けているせいか、みんなあまりピンと来てない様子。
とにかくここは悩んでたってしょうがないので、まず自分で行ってみる事にしました。直行便はありませんので、ロンドン出張と絡めて行きました。実はロンドンでもすごい話があって、話が長くなるんでこれだけにしますが、獺祭の二割三分の720mlがあるフレンチのレストランでなんと600ポンド(日本円で約14万円)、「クリスマスには二本売れた」なんて話してましたけどこれで売れたら奇跡ですよね。いくらなんでも中間卸業者がぼり過ぎ。ここと取引は昨年停止しましたが、正解でした。
で、アイルランドの話ですが、ロンドン4泊の後一時間あまりのフライトで首都ダブリンに到着しました。着いた日に早速ガイドブックで調べた和食店に行ってみました。7~80人入れる店ですが、現地のアイルランド人で満席でした。みんなお箸を上手に使っています。
日本酒を飲んでる人も結構います。だけど何で徳利の首のところに紙ナプキンが巻いてあるんだろう? なんかの印かなぁ? とにかく、メニューの中からお寿司と豆腐ステーキを頼んで見ました。やってきたのは、味は美味しいんですが、なんともすごいボリュームでまあ普通の日本人なら半分は残すシロモノです。
そうこうする内に酒が到着しました。SAKEと頼んで後何も言わなかったこちらが悪いんですが、燗酒が到着。首ナプキンの意味がわかりました。とても熱くて持てない。次の日に行ったアジアンフュージョンの店(こちらも料理は美味しかった)なんか、コールドと頼んだのにこちらの語学力の問題もあって理解できなかったのか燗酒プラス湯煎用のポットまで出てきました。
アイルランドでは黙っていると燗酒がきます。というか燗酒しか日本酒と思っていないようで、要は一昔前のアメリカのように酒はちんちんに沸かして飲むものとしてしか認知されていないようです。
酒そのものは海外輸出用のある酒蔵の純米酒。「酒は純米酒に限る。燗ならなお良し」を地で行っていますが・・・・。基本的に飲み辛い酒をぐっと我慢して飲むのが日本酒の飲み方と思ってるんですね。事実、翌日現地の酒販業者などに聞くと、日本酒は「すごく強い酒で、飲み辛い酒」という印象を持っていたようです。そりゃ、当たり前だわ。
「何で、酒なら燗なんだ・・・ったく・・・」 でも、燗でなきゃ酒じゃないとまだ思ってるんですね。こりゃ,前途多難だなぁ。比較的美味しい日本料理とこの日本酒との落差は前途が厳しいということを、実感させてくれたしだいです。しかしながら、その日本酒を楽しそうに飲んでいるダブリン市民の姿は、本当の日本産清酒の美味しさに出会ったときの可能性の大きさを、実感させるものでもありました。
この後実際にどうしたかは次回にさせてください。
(切り札レストラン)
よく見てる人がいるもんで、「今月の雑誌の「東京カレンダー」に獺祭がのっていたよ」と連絡をいただきました。見てみると、これぞという日に行く切り札レストランという切り口の特集に麻布十番の「礼」という和食店がのっていて、その店のお勧めは爽やかな発泡性を持つ獺祭発泡にごり酒とのことです。
気取らず、飾らず、そして少しだけわがままを聞いてくれる使い勝手の良い日本料理店、二人の特別な時間に最良の空間になるに違いないそうです。チョイ悪オヤジ・または志願のオトーサン、これぞというお相手と行く店に迷ったら、この店で、「勝負○○○」なんて着てかなくていいですから、ぜひ、「勝負獺祭」を。
えっ、「それでお陰がなかったらどうするんだ?」って・・・うーん・・・・そんときゃ、せっかくの獺祭を飲ませても効かないような感性じゃ、あーたのお相手に相応しくないんですからあきらめて他の方を探してください。
ちなみにこのお店、実際に行った人に聞くと料理も雰囲気も抜群だそうです。お酒も・・・もちろん・・・・・「勝負獺祭」ですから。
「礼」 03-5785-4805 東京都港区六本木5-11-25鳥居坂アネックス