「どうにかなりませんかねぇ。ワインと同じパーセンテージに下れば今の倍売る自信がありますけど・・・」台湾で獺祭を販売してくれているSさんの嘆き。何を嘆いているかというと、台湾輸出時に掛かる関税です。前にも話したかと思いますが、台湾の日本酒輸入時の関税は40%です。対してワインは10%です。

台湾の政府関係者が不思議がっていました。ワインも日本酒も一律に40%の関税を台湾政府は要求したそうです。そしたらすぐにフランスから強烈な申し入れがあって10%まで下げたそうです。これはイギリスも一緒で、結果として、なんと、スコッチの関税は0%になりました。だけど日本は何も言ってこなかった。ゆえに40%のままであるそうです。

これは同じような話をフランスでも聞きました。もう10年以上前に日本酒をフランスに輸入したこともあり、フランスのワインを日本に輸出するアドバイザーもしているOさん。「ほんとに日本酒を売る気が日本にはあるの買い?」「ワインは一本100円以下の関税で日本に入る。同じ容量の日本酒は270円以上の関税を払わなければフランスに入れない。これ、ほんとにやる気があるのかい?日本はちゃんと交渉しているのかい?酒造組合はこれ湖祖やるべきことだろう」

まさに、一言もありません。外務省が、酒造組合が、言いたいことはいっぱい有りますが、何を言っても愚痴と言い訳にしかなりません。下唇を噛んで言葉を飲み込むしかありませんでした。

外務省は酒造業界の監督官庁である国税局が頼んでこない限り動かないと言ってい・・・・対する国税局はそもそも日本の国税収入を考える省庁である自分たちにとって他国の関税は無関係という立場・・・・酒造組合はそもそも国の下請け機関ぐらいに自分たちのことを考えているから、まったく意味が分からずぽかんとしている・・・・etc

ただ、表面的な言い訳は別にして、「外交で波風は立てたくない」「自動車に代表される機械輸出は大切だけど日本酒の輸出は考えたこともない」ということだと思います。

しかし今、先進国の世界は文化競争の時代に入っていると思います。その中で主導権をとっていけるかどうかはこれからの日本の将来に関わる問題です。そういう意味では日本の食文化の一つの象徴である日本酒が海外に輸出され理解されることは、これからの日本にとっても大事なことです。(但し「日本で最近売れないから海外で」なんて情けないのは駄目です。逆効果です)

どうか、皆さん、日本酒が海外でワインと同じハンディキャップで戦えるようになるよう応援してやってください。輸出振興という話になると必ず出てくる補助金やそれを消化するためのイベントの類の話は必ずしも重要だとは思いません。ただ、ただ、対等な土俵で戦えるようにさえしていただければ必ず日本酒は世界中の酒のマーケットでそれなりの地位を得られるものと確信しています。