先日、オレンジページの山本洋子編集長の話を久方ぶりに聞く機会がありました。酒の流通コンサルタントで名高い(楽しい酒飲みとしても名高い?)小島先生主催の勉強会に講師としてきていただいた山本さんの講演をその勉強会の受講生である私が聞いたわけです。
山本さんとはあちこちの酒の会や酒席で会うことは多いんですが、そんなときはお互い酔ってますから他愛の無い話に終始したり、一応ご挨拶したら飲むほうがお互いに忙しかったり!!!(まったく、美人を前にして飲むほうが忙しいとは、男じゃないね!?)
と、いう事で、日頃まとまって話を聞く機会が無いんですが、流石酒類業界の四大美女の一人ですから、新鮮な切り口で面白かった。(すいません。美女と切り口、まったく脈絡ありませんね)
で、話は置いといて・・・・・山本さんが編集した本で「米の酒はおいしい」というムック本があります。その第一特集が「蔵元の晩酌」。
で、今回の蔵元日記のテーマは私の晩酌。
私に決定権があるときによく行く魚屋があります。近くのスーパーの中に入っている魚屋なんですが、これが優れもの。一般客用とは別に業務用の生簀があって、その時期その時期のうまい魚が泳いでて、そこのお兄ちゃんが今うまいのを教えてくれます。私らみたいな素人にも分かる。
前は、気の良いお兄ちゃんと相談して水槽の中のうまい魚をゲットしたい私と、その前に立ちはだかり、棚に並んでいるパック入りの刺身を売りつけようとする店のオバちゃんの間に微妙な暗闘がありました。けっこうこれがお互いにムッとする局面もあったりして・・・・「客なんだから、買いたいものを買わせろ」なんて啖呵きったこともあったぐらい。
オバちゃんにしてみたら、「大した売り上げにもならないのに、手のかかる特別注文の客なんて許せない」「気の良いうちのお兄ちゃんに任していたんじゃ、儲けなんて出るわけないわ」「私がちゃんとしなくっちゃ」てなもんだったんでしょう。
まぁ、そのオバちゃんとも、その魚屋が卸している小料理屋などで、納品に来たオバちゃんとそこに客で行った私が何度か会うことが重なり、「この客は他でもうちの魚を食べてくれている常連みたい。ま、回りまわってうちの評判を高めてくれるかもしれない」と見逃してくれるようになりました。お陰で、最近は「こっち、こっち、こっち、こっちがいいですよ」なんて無理押しされることもなくなり、「今日、何がうまい?」と聞く私とお兄さんも平和に相談できるようになりました。
で、昨日の晩酌のつまみ。15cmぐらいの小さな河豚、それよりもう少し大きいぐらいのオコゼ、両方薄造りにしてもらって、ついでに肝だけカワハギの肝を分けてもらって、しめて3182円。普段の晩飯用にはちょっと高いけど、飲食店で食べる気になりゃ安いもんです。
河豚は引いてすぐですから味が無いのではと心配しましたが(注)、けっこう美味かったし、それ以上にオコゼは納得。河豚とオコゼのあらを両方ぶち込んで造ったコラボ味噌汁も美味。家人と二人で二合弱の獺祭磨き二割三分と共に腹に納めて満足。
(注)河豚は刺身にして一日置いたほうが通常おいしいんです。つまり引いてすぐは死後硬直(!!)を起こしてゴムを噛んでるみたいな食感になるんです。ですから私のよく行くふぐ屋も当日の予約は受けません。
(酒蔵増築余談)
前回、お知らせしたとおり、酒蔵の増築を始めたんですが・・・・・一部倉庫を壊さないと出来ません。まず倉庫を壊すことからはじめました。しょぼい倉庫ですが、まったく酒が売れず前年比85%の売り上げが当たり前で、県内の関係者からも「旭酒造はどうせ酒造りをやめるんだろう」と噂されていた頃に、無い資金を工面して造った設備がいくつか付随してます。
裏口の導入路や溝、今、露わになったそれらを見ると「なんとしょぼいもんだなぁ」と思いもしますし、「あの売り上げの中でよくやったな。結局、夢と将来計画だけあって、資金繰りなんて見えてなかったから出来たんだろうな」(ここ、銀行関係の方は読まないようにしてください)と、思います。
結論。蔵元は賢くないのが一番。(特に、読まないようにしてください)