ポルシェが新型スポーツカーを発売するに当たり世界中からジャーナ リストを集めて試乗会を開催するんならこんなところだろうなぁ。雪 の中に宝石箱をひっくり返したようなきらびやかさ。モンブランの麓 に位置し、第一回冬季オリンピックの開催地であり、ヨーロッパの第 一級リゾート地として知られるフランスのシャモニー。着いたときは 夕方でもう暗かったからでもあるんですがまるでおとぎの国のようでした。

「なぜそんなところに行ったか」ですって? 第19回の「居酒屋めぐ りのご案内」の中でフランスからソムリエ世界チャンピオンのオリビ エ・プシェさん他5人の食関係のジャーナリストとソムリエが来日し て全国の酒蔵を見学して歩いたことを合わせて報告させていただきま した。

この訪問の目的は「日本酒をフランスに紹介したい」「それもトップ レイティングの店から」というものでした。今回その第一歩として、 彼らが10年以上にわたって開いてきたフランスの食関係者たちへのテ イスティングセミナーで日本酒を紹介してくれることになりまして、 蔵元としてそのセミナーへの立会いを要請されたからです。

会場はアルベール・プルミエ、シャモニー第一等の格式を誇るフラン スの旅籠がそのまま進化したゴージャスなリゾートホテルです。付属 するレストランはもちろんミシュランの二つ星。その一室が会場です。

デギュスタシオン・ドゥ・ジャポネーズ(日本酒のテイスティング) と名づけられた日本酒セミナーと「日本酒の発見」と名づけられて日 本酒に合わせてフランス側が考えた料理を楽しむランチがひとつのコ ースになった内容のあるレッスンコースです。

ランチの構成は潔いことにすべてフレンチです。最初におすしの巻物 のようなものが出てくるのが唯一の日本風な料理ですがそれだってラ イスはリゾットのような芯のあるもので決しておすしではありません。 合わせるソースもバルサミコ酢を使ったものでした。

獺祭の50でその巻物風の小さな小さなリゾットと牡蠣で始めてフォワ グラを九平次の別誂えで楽しみ、その後のマグロのステーキは黒龍の 石田屋が出てきました。最後の青かびの山羊のチーズはもちろん獺祭 磨き二割三分とあわせて楽しみました。

面白かったのはデザートには岐阜の白扇酒造の10年物の味醂を合わせ てきたことです。最初はあの独特の香りをフランス人に理解させるの が大変だったようですが。

とにかく朝の10:30から始めて15:00まで。その間講義はありますが、 もう飲みっぱなし食べっぱなし。聞けば、前夜は夕食の終わったのが 深夜の二時だったという人も。彼らの体力に脱帽です。日本酒は初め てという人が大多数だったのですが参加者の方々を見ていると、「こ れ美味しい!!」とか「これが一番好き!!」なんて声も聞こえてき て楽しんでいただいているのがよくわかりました。感激です。

そんな声が聞こえるぐらいですから、初日は一般客も多かったようで す。(でも彼らの年収は考えたくありませんね。だって、「シャモニ ーに山荘を持っててこの季節は毎年来てる」なんて話が飛び交ってる んですから) 二日目はプロのソムリエや食関係者が多く参加してい ました。

そうそう、ミシュランの関係者も来てたようです。参加するらしいと は聞いていたのでどの人か気をつけて見てたんですが、二日目のお客 さんの中で後ろのほうに一人座っていたお客様。なんせ見るところが 違うんですね。(そんなことがわかって威張る暇があったら、「もっ と酒造りに血道をあげろ」ですね。反省)

この後は長くなりますので次号(明後日配信)にしたいと思います。

◆予告 獺祭新酒の会◆

今年の「獺祭 新酒の会 2009」は二回に分けての開催ですので もう少し二日とも定員に余裕(6~70名程度)があります。

日時  2月20日(金)18:30~20:00

    2月22日(日)15:30~17:00

場所  都市センターホテル      東京都千代田区平河町 地下鉄永田町駅より3分 赤坂見附駅から5分 会費  4000円

例年同様、獺祭の全アイテムを新酒状態で持ち込みます。

申し込み先   旭酒造株式会社

TEL  0827-86-0120

FAX  0827-86-0071