先日発表されました民主党のマニフェストで酒税に言及しています。以下のようです。

「酒税・たばこ税は国民の健康確保を目的とする税に改めるべきであり、 その際には国民に分かりやすい仕組みにすることが必要です。その観点から、酒税については、特に清酒・焼酎などの現行の税負担に配慮しつつ、 基本的に致酔性に着目してアルコール度数に比例した税制とすることを検討します」(民主党マニフェストより抜粋)

税金は取りやすいところから取る、その際には日本の将来に対する戦略的観点など考慮しない、というのが今までの政府の方針だったように思いま すから、それから見れば進歩のように見えます。特にただ取るだけでなく健康に配慮という文言が入ったのは進化です。

ちょっと話を変えますが、個人的な体験から言えば、私の子供時代である 1950年代の酒一升の価格は大工さんの一日の日当でやっと一本買えるぐらいでした。しかし、経済の進化とともに、今では安い酒であれば50 本ぐらい買える価格に相対的に下がってきました。

つまり、昔は女房子供を質に入れなければアル中になれなかったわけですけど、現代はお小遣いの範囲でアル中になれる時代になったわけです。

そんな中で、酒の飲み方も変わって当然です。たくさん飲むのが偉い時代から、生活の中の楽しみの一つとして飲酒を捉えるべき時代になったと思います。そんな思いから、旭酒造は大量販売しやすい普通酒などに背を向 けて、純米大吟醸に特化してきました。

そんな事から言えば、今回のマニフェストは良いことに見えますが、気になるところもあります。少し言いにくいのですが酒類の性質を無視して、アルコールの度数だけが問題視されていること。

たとえば、日本酒や焼酎を朝から飲むということに抵抗を感じる方は多いと思います。これは、酔いというものに対する心理的バリアーが、伝統酒に対しては、民族のコンセンサスとして無意識に張ってある為と言います。 しかし、ビールやウイスキーなど外来酒にはこの民族心理的バリアーはありません。だから草野球の試合観戦なんかで朝から缶ビールが罪悪感無しに飲めるんです。

また、体感上の酔いと比べて実際の飲酒量が行きやすいということから言えば、日本酒やワイン・ビールなどの醸造酒と焼酎やウイスキー・ブランデーなどの蒸留酒を一緒くたに考えるのも、ちょっと問題。欧米で日本酒のアルコール添加酒が蒸留酒とみなされて高率酒税を掛けられるのもそのためだと思われます。 だから、このあたり一律に度数だけで税率を考えるということは、健康確保という民主党の目的から外れてくると思われます。

また、ワインだけはフランスの政府が怖いからと外務省に脅されて、酒税を低率にというのは違反ですよ。民主党さん。日本は独立国家ですからね。

もう一つ、以前は日本酒の酒税は一度刻みで上下していましたが、最近の税制改正でワインやビールのように一律になっています。(13度から43度と商品のアルコール度数に差のある焼酎は一律ではありません)これを以前のように差をつけるのは反対します。

税制が煩雑になる、イコール、許認可権域が広がる、ということで政府は民主党案に賛成するかもしれませんが、反対します。あの税制は、アルコ ール度数が低い、イコール、水増し、という時代のものです。酒の絶対品質を追求するとき、酒税によるアルコール度数の頚木(くびき)が付くこ とは、抵抗になります。

今、世界の中でワインなどと対等に戦える日本酒を造る上で邪魔になります。

同様な意味で、私どもも減税の恩恵に浴している小規模酒造業者に対する酒税特別減税(注)は廃止してもいいのではと思います。ただし、ワイン と同列酒税という条件付ですが。

最後に、国民から見たとき・・・・・、政官財の癒着を断ち切るという意味で自民党に「今回、お灸をすえる」つもりで「民主に入れるんだ」という方がオジサマ族には多いそうです(・・・・・と、ある女性がおっしゃっていました)・・・・・が、「お坊ちゃんの民主党では官僚の良いようにされてしまうのでは」という危惧もオジサマ族にはありますよ。もしも、政権を取られたときはこの危惧が真実にならないように頑張ってください ね。民主党さん。

(注)ある一定以下の規模の酒蔵の育成を図るために、設備や人材投資に充当する目的で、その蔵の販売石数のうち200kl分の酒税を25%減免する減税処置法です。現在では当初目的から外れて、その減免分は設備投資などに回らず、資金繰りになっている酒蔵がほとんど。また、酒税特別減税(つまり既得権)を守ることが酒造組合の錦の御旗になるなど、本末転倒の話になっています。

基本的には、業界一位の白鶴といえども358億円の売上げで、一兆円企業のキリンとサントリーでさえも、国際的に見ると存続が危ぶまれて、合併を考える酒類業界の現状から考えれば、全部中小企業といえます。

また、こういう話をすると必ず出る話が、「フランスやドイツでも小規模酒造業者に優遇税制がある。」という話です。でも、現状の欧米のワイン やビール業界を見る限り、現在でも新規参入が多く、この振興策にそれなりに効果がある。しかし、日本の現状をみると残念ながら、小規模酒造業者の育成には効果がなかったとしかいえません。

と、なれば、小規模酒造業の育成ということより業界全体を横断的に考え て、もっと別の税制が必要と思います。

【ミス岩国】

ちょっと、自慢させてください。うちの蔵に製造部門の分析担当で勤めているKさんがミス岩国に選ばれました。確かに、身長170cmの八頭身美人で、はっと目を引くお嬢さんでしたから、結果を聞いてみれば順当な んですが・・・・・

しかし、弊社の男どもはちょっぴり複雑な顔。なぜなら、ミス岩国は二年契約。と、いう事は二年間はミセスにはなれないということですね。いくら「粉」掛けても二年間はお預け。

でも、うれしい。ちょっと、自慢(社長が自慢してもしょうがないか。縁戚関係でもないのに)。