この11/10号の週刊SPAで獺祭の蔵元として私が登場しています。後半のあたりによく載っている「エッジな人々」という4ページのインタビューページ。「エッチな人々」ではありませんよ。「エッジな人々」ですからね。(すいません。オヤジギャグで。でも知り合いの同い年のデザイナーに話したら何遍言っても「エッチ」と聞き間違えました。年代的に問題があるんですかねぇ?)

インタビュアーは毎回対象の登場者によって違うようですが、というより毎回著名なインタビュアーがまずあってそのインタビュアーの興味のある人が取材対象に選ばれているようです。今回、私に興味を持ってくれたインタビュアーはスポーツライターとして有名なあの金子達仁さんです。(以下敬称略させてもらいます。著名人ですから)

過去の記事を見ても勝谷誠彦さんが小沢一郎にインタビューしてたり、ちょうどお話があった週のSPAには横浜市長辞任直後の中田さんが出ていたり、翌週はあのヴィジュアル系バンドのGacktだったり、ちょっとびっくりするようなメンバーです。僕で良いんでしょうかって心配になるような人ばかり。

こんなところに地酒の蔵元が取り上げられるなんて異例だと思います。周回遅れのトップランナーかもしれませんが、日本酒に光が当たり始めた「兆し」かなとも感じます。機会のある方は手にとって見ていただければ幸いです。

ところで、もう一つのサプライズは金子達仁さんと一緒に「中田英寿」つまりあの「ヒデ」がきたこと。彼は長い欧州の遠征生活中に日本的なものに目覚めたんだと思いますが、文化面でも造詣が深く、日本固有の伝統的なものを掘り起こしていかなければならないと考えているようです。

そのため最近、“TAKE ACTION FOUNDATION”という「日本の伝統工芸・文化・技術の再評価」を目的とする財団を立ち上げたそうです。今回の訪問はその一環だそうです。ですから、彼にも色々質問されました。

と、いう事はこのSPAのインタビューには二人のインタビュアーによるエッセンスが詰まっているわけです。なんといっても、あの金子達仁だけでも大変なのにヒデまでくっついているんですから・・・・・。

でも、二人も大変だったと思いますよ。旭酒造の話はよくある「伝統だから素晴らしい」「手造りだから素晴らしい」と外れているし、だからといって「コンピューター制御のプラント万歳」でもありません。もちろん「理論だけですべてが出来る」とはさらさら考えていません。しかも、しつこく言えば、よくありがちな現場から上がってくる「現場の都合」的なことは一切聞かない・・・・・くせに、「日本というものが持つ考え方・社会の素晴らしさ」を主張する、私の話に付き合わなくっちゃいけないんですから。

でも、蔵の中を案内してる時や実際に相向いでインタビューを受けてる最中はあまり感じませんでしたが、二人が帰ったあとまさに「ドシャッと疲れた」という感じで椅子にへたり込みました。人格的パワーが二人からあったんでしょうね。

◆蛇足◆

でも、ヒデってクレバーですね。取材で出会った人の中でも、本質的なものの理解度はトップクラスだと思います。それと、なんといいますか、印象が、猫科の猛獣というか、物凄く動きがしなやかで、しかも優雅というか、なるほど鍛え上げられた筋肉とそれを制御する人格というか、それを造り上げる運動というのは意味があるんだなぁと感じました。

金子達仁もスポーツライターらしくアスリート体型ですし、それに引き換え、鏡に映るでれっと両肩が落ちて無様に腹を突き出した自分の体型を今更ながら見つめ、「手遅れ」ではあります、が、しかし、考えさせられた体験でした。

うーん。かっこいい人はかっこいいんですね。でも・・・・・・手遅れのところに人生の味もある。(すぐ立ち直るお気楽蔵元)