私の周囲はユニクロ好きが多くて、敬愛するUさんは奥様から「古いのを処分しないと新しいユニクロ買っちゃいけません」と言明されているそうです。私もこの前、日本酒コンサルタントの寺田君と、夕刻外出したら、思いのほか寒くて、震えあがりました。何か上に羽織るものを買おうと、おっちゃん二人で仲良く、目についたユニクロに入ろうとしました。
まさに、店に入ろうとしたその時、グッドタイミング。寺田君の携帯に奥様から電話が。何んとなく匂いがしたんでしょうねぇ。 「あなた!買っちゃだめですよ」・・・・・とは、言われませんでしたが・・・・言外に圧力が・・・・あえなく、寺田君は断念。私だけ最新のアウターを買って機嫌よくその晩のお得意先回り(何のことはない居酒屋での一杯)に突入しました。
ところでそんなユニクロ、もちろんビジネスは絶好調のようですが、ターゲットとしていた世界一位のGAPがH&Mに抜かれちゃった。どうやらスペインのZARAにも抜かれたようです。そんな世界の強者リーグの中で、健闘はしていますがユニクロの売り上げは7千億と聞いていますから、1兆5千億のH&Mの半分です。ここ数年の伸び率を見るとH&Mの方が高いんです。
これって、がっくりくるわけです。なぜなら、品質を見ているとユニクロの方がはるかに高品質のところを狙っている。H&Mの方があざといと言えばあざとくて、品質はひどくてもとにかく流行の新製品をどんどん出して消費者を刺激して買わせようとする。次に行ったら前に置いてあった商品はもう廃番。
対するユニクロはあまり品数は多くなくて、それを何年もかけて磨き上げる。下手したらシーズン最初のものと後半のものは見た目は一緒でも着心地とか全く別物に改良されてたりします。大ヒットしたヒートテックのシャツなんて、ほんとに毎年毎年進化しているのがわかります。着心地が全く違いますものねぇ。
でも、このビジネスモデルが負けちゃうのか・・・。なんか複雑です。なぜなら、このビジネスモデルは獺祭のスタイルにも一脈通じるところがあるからです。
あまり商品アイテムを増やさず(山田錦を使った純米大吟醸だけ)深く掘り下げて行く。すると、酒マニアの方などからは、「もっと違った米を使った獺祭を飲んでみたい」とか「精米歩合の黒いガツン系の獺祭を飲んでみたい」とか「あそこは生モトを造ったけどお宅は造らないの」とかいろんな「浮気?」な要望が出てきます。にもかかわらず、、、、自分たちの美味しいと信じる酒しか造らない。
ビジネスからすればH&M方式でいろんな酒を造る方が売り上げ増になるかもしれないけど、そんなお客様を刺激して売り上げを上げても、本質的なお客様の幸せにつながらない。「うちの方式こそお客様の本当の幸せになる」と思い、売上UPという目前の欲に耐え続けている私としては、ユニクロがH&Mに負けているのは何とも悩ましい。
がんばれユニクロ。がんばれジャパン・クオリティ。決してジャパン・メイドじゃありませんよ、あくまでジャパン・クオリティ
(注)。今日も私の箪笥の中にはユニクロの服が増えて行きます。あぁ、嫁はんに怒られる。
(注)地産地消に背を向けて、一番良い山田錦を山口県産にこだわらず産地を問わず買う、東京や海外など大消費地を中心に獺祭を理解していただける市場で売る。でも、あくまで心はヤマグチ・スピリッツ。そんな思いで獺祭を造っていますが、ユニクロを見ていると生産地は中国だったりベトナムだったり。でも、ジャパン・スピリッツを感じるんですよね。