すでに「昨日の獺祭」でご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、2月の18(金)19(土)20(日)と東京永田町の都市センターホテルで開催しました。

結局、三日間で900人を超す皆様にお出でいただきました。三日間の開催にしました時に予想していたこととはいえ、改めてびっくりする数字でし た。何より、ホテル側が酒蔵一社で開催するこの催しの規模に驚いているのが、先方の対応の端々に感じられる三日間でした。

心から、この場を借りまして皆様に感謝申し上げます。

例年、この会の冒頭に私は、できるだけ「今考えていること」を直裁にお 話して来ました。 今年も以下のようなお話をさせていただきました。

(以下、挨拶の要旨です)
皆様こんばんは。 本日から三日間で、実は900名を越すたくさんの皆様にご登録いただいております。 この日本酒不振が叫ばれている中で、かくも多数の皆様に「獺祭の会」に お出でいただけるということは酒蔵冥利に尽きる快事です。 心から感謝申し上げます。

さて、その上で、感謝しておいて、お願いというのは虫がいいんですが、ぜひお願いしたいことがございます。

それは、皆様の周囲の「日本酒嫌い」や「日本酒なんて飲んだことない」方に獺祭を薦めてみて頂きたいことです。

実は、私どもの本年の出荷量は一升瓶で56万本を越す予想です(日本酒業界の慣例の呼び方で言えば5,600石)。ご存知のように、私どもが造るのは山田錦を使った純米大吟醸だけですから、純米大吟醸としては日本一の出荷量の酒蔵になる予定です。

先ほどもお話しましたように、この不振な日本酒業界の中でこれだけのご支持をいただけるというのは信じがたいことです。

私どもはある意味、今、日本酒業界のバッターボックスに立っていると実感しております。ここに立ったからには四球狙いは許されない、たとえ尻餅をつく位の無様な空振り三振に終わろうとも、バットを振らなければならないと考えています。

つまり、その意味で、自社の経営云々ではなく、日本酒の枠を超えて新しいお客様を切り開かなければならないと考えています。

20年前、地元山口で酒の販売において負け組みだった私どもが起死回生を信じて東京市場に出てきたとき、山口県内の反応は、「どうせ失敗する」「山口の酒が東京で売れるわけがない」というものでした。ところが、今、「山口県の酒は元気が良い」という言葉は定説になっていま す。私ども以外にも「東洋美人」「貢」「雁木」もちろん「五橋」「黒松」 など、いくつもの蔵が話題になっています。しかし、20年前の旭酒造の無謀とも言える東京進出がなければ、現在の山口の地酒に対する評価は変わっていたのではないかと思います。

もう一度、私たちは日本酒全体の中で同じことをやらなければいけないと思っています。その意味で海外も、英語もできないのに、一生懸命恥をかきながら開拓して来ました。同じように国内は、日本酒のお客様でなかった方、この方たちを開拓するのが「獺祭の仕事」と思っています。ぜひ、ご協力よろしくお 願いします。

きっと獺祭は周囲の日本酒が得意でない方にお勧めいただいても拒否反応は起こさないと思います。私たちは本当の日本酒本来の美味しさを全てをかけて追いかけておりますが、こんな酒こそ普通の人にも「あぁ、美味しい」と声に出してもらえる酒と考えています。

本日は本当にありがとうございます。

以上のような話をさせていただきました。 早く飲みたいのに蔵元の話を我慢して聞いていただきました900名の皆様方に感謝し、それとともにここまで獺祭を支えてきていただいた全ての皆様に感謝したいと思います。

ありがとうございます。