本日(11/14月曜日)発売の週刊プレイボーイで日本酒が特集されます。私どもにも先日、取材があり、「獺祭」の事が取り上げられるそうです。書店で購入、コンビニで立ち読み、どちらでも、ちょっと一覧いただけると嬉しいなぁ。

実は取材申し込みを受けて、感激したんです。だってですねぇ、プレイボーイですよ。私らの年代にとって、平凡パンチとプレイボーイは毎週の愛読書で、買うか、立ち読みか、はたまた喫茶店でコーヒー一杯で粘りながら読むかは別にして、おそらく毎週読んでた週刊誌。

そのプレイボーイがどんな切り口で日本酒に迫るのか、私も期待しています。是非、読んでみてください。

と、ここまで書いておいて、その上で掟破りですが、こういう日本酒の記事、実はちょっと飽きています。こういう総合誌の記事は日本酒に詳しくないという前提があるがゆえに気にならないんですが、よく日本酒特集をやるグルメ系とか40代男性対象の趣味的雑誌みたいな雑誌の記事。また、それにのる日本酒評論家のような人の記事。あまりにマニアックなんですよね。どんどん日本酒の世界が縮んで行きそう。

話は変わりまして、先日の「和食店で獺祭を」の参加者の中に、自動車雑誌のNAVIの初代編集長にして、先月まで新潮社のENGINEの編集長だった鈴木さんがいらっしゃいました。ちょっと興奮しました。実は私は彼の大ファンなんです。

何がすごいかというと、もう20年以上前ですが、その頃、自動車雑誌は分岐点を迎えていました。と、いうのは、あのカーブをこの車は何キロで回れるとか、ゼロヨン何秒とか、最高速はいくら出るとか、そんな記事ばかりになっていて普通の自動車ファンから離れ始めていたんです。

そんなところに自動車を文化というか本質論から語るNAVIという雑誌が生まれて、性能オタクになっていた自動車雑誌や暴走族御用達のアッチ系雑誌にもついて行けない普通の読者層にアピールしました。結果として高級誌としての自動車雑誌の存続に大きな力を発揮しました。

その立役者が鈴木正文編集長だったわけです。(ところで、当日聞いたところではNAVIの編集長になるまで自動車は専門ではなかったそうです。納得!! ちなみに今度GQの編集長になられたそうです。どんな雑誌になるのか楽しみ)

ところで、何を言ってるかというと、日本酒の記事がマニアックになる事によって、自動車と違ってああいう中年男性向け雑誌は取扱うジャンルが幅広いですから、雑誌そのものが失速することはないと思います。また、反対にマニアックに掘り下げれば掘り下げるほど、ドッキリびっくりのお酒にフォーカスすればするほど、雑誌自体のの売上は上がるかもしれません。

でも、その雑誌に取り上げられる酒蔵を見ていると、大丈夫かなぁと感じています。もちろん、私どもも取り上げられる事がありますから偉そうなことを言えた義理ではないんですが、、、、、それでも、大方の若い蔵元達のあまりのその取材方向へのフィットぶりというかマニア受け系ぶりに、ちょっと心配しています。

たとえば、もう一度自動車の話に戻りますと、マニア受けする日産、マニア受けしないトヨタという図式が長く自動車ファンやマスコミの中にあったと思いますが、結果として、片方はフランスのルノーに買われざるを得なかった、片方は日本の自動車会社として世界一を目指すステップに登った。

今になって思うと、「商売」という切り口から入ったとはいえ「自動車とは何か」という本質をおっかけ続けたトヨタと、性能開発は一生懸命だったけど本質の見つめは甘かった日産という、そんな図式に私には見えます。

同じ事に若い蔵元達は陥らないでほしい。がんばれ、若い蔵元達。