先日面白い体験をしました。丸の内の新丸ビルの7Fで開催している二木の会という催しがあります。

(日頃は完璧「洋」のちょっと懐かしいポップスなんかがかかるカウンターバー「東京ソウル・ステーション」を毎月第二木曜日だけ酒バーに改装してお客さまに気軽に日本酒を楽しんでもらおう、という目的で一昨年から、新潟の「鶴齢」とともに隔月開催してきました。今年10月から、この試みが地に着いたと思えるのでほかに二社参加してもらって4社で交代に開催する予定です)

今月の担当は私ども「獺祭」だったんですが、MUSMUS(注)のコンちゃんから挨拶してほしいお客さんがいるとのこと。とにかくご挨拶させていただくと、「実は、自分の勤めているレストランで獺祭の酒粕を使ったデザートを出している」というお話。

お店は銀座6丁目の花椿ビルにある「レカイヨ」というフレンチレストランですが、どこから酒粕が入っているかは、お互いにわからない。

翌日のランチに、時間の余裕があったので寄ってみました。お店は数寄屋橋通りに面したビルの、1Fがエントランス、2Fがテーブル席の2フロアーの瀟洒な作りのお店です。

料理もおいしくて、僕はメインがお魚と肉の両方でなくどちらか一つだけ選べる安いほうのコースにしたんですが(3600円ぐらい、すいません正確でなくて)、でもボリュームたっぷり。野菜が一つ一つの味がして良いんです。

残念ながら、ワインしかメニューにありません。でも、びっくりしました。ちょうどお客さんにもらったとかで獺祭の発泡にごり酒がメインテーブルに置いてあったこと。もちろん、スタッフのものですから、私が飲むわけにはいきませんでしたが。

それで、本日のお題の酒粕を使ったデザート。きめが細かくて繊細で、相当このパティシェは腕が良いなぁという感想。

帰りにびっくりしました。シェフとパティシェにご挨拶させていただいて、その時、どこから酒粕を入れているのか聞いてみました。するとパティシェの中村亮平さんの答えは「実家から分けてもらっています。僕は函館の富士冷菓の息子なんです」というもの。

「えぇっ、あの富士冷菓の息子さん!!」思わずトーンが高くなる。

疑問は氷解しましたが、なんともびっくり。だって、富士冷菓といえば、ある日突然、私どもにアイスクリームが送られてきて、添付された手紙には「獺祭の酒粕でアイスクリームを作ってみました」とありました。食べてみて、そのアイスクリームのなんとも美味しいことに感動したことがあるからです。結局、その後こちらから酒粕を送らせていただいてアイスクリームを作ってもらい、旭酒造の酒蔵の小売でだけですが出させていただいています。

ホント、世の中って狭いなぁ、悪いこと出来ないなぁ、と感じた出来事でした。

ちなみにレカイヨは以下の住所です。(http://r.tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13138399/)ランチは値段もお手ごろでボリュームたっぷりですからお勧めですよ。

もう一つ函館の富士冷菓は(http://r.tabelog.com/hokkaido/A0105/A010501/1006872/)こちらも、相当な有名店です。

それと、ここのソムリエの鶴岡さん、私どもの獺祭のファンだそうです。熱い思いを語っていただきました。しかも、昨年春にはドイツで、暮れにはフランスでロブションとともにコラボさせていただいた「青柳」の小山さんの親戚だそうです。ちょっと、びっくり。やっぱり悪いこと出来ない。

でも、最近フレンチやイタリアンの業態の方から「実は獺祭が好きです」という言葉を聞くことが多いんです。その証拠に、「獺祭はフレンチのメインに合わせることは想定していませんよ」と公言しているにもかかわらず、フレンチのレストランから秋波を送られて獺祭の会を開催することが多いんです。

今度もこんな会をやります。

http://www.restaurant-narukami.com/

あの名店「ナルカミ」で7/6にスペシャルイベントです。こちらもチーフソムリエが獺祭好きで実現した会です。もちろん、オーナーシェフの鳴神さんも。

でも、絶対、獺祭の一番よく合うのはおいしい和食。和食業界の皆様、美味しい日本酒をよろしくお願いします。

美味しい日本酒です。手抜でお客様を馬鹿にしたような日本酒まで「日本の国酒」だからよろしくという気持ちはありません。もちろん、私たちは「少しでも美味しい獺祭を」と努力していますが、「獺祭は美味しくない」「獺祭は素人のお客様に美味しいと思われればいいと、適当に手抜きで造っている」と思われるなら外して頂いて結構です。

美味しいお酒をよろしくお願いします。(ここから後は小さな声です) できれば美味しい獺祭を。

【たかじんのそこまで言って委員会】

東京では映らないと思うんですが、面白い番組ですね。こちらでは日曜日に放映です。先週は元オウム真理教の上祐外報部長が出ていて思わず忙しいのにテレビにくぎ付けになりました。(ちなみに、まだ全ては話していないという感触でしたが)

ところで、勝谷誠彦さんとか宮崎哲也さんとかケビン・メイヤーさんとか、何とあの田島陽子先生まで!!!コメンテーターの選考が秀逸で、面白い番組です。その番組を作り上げたのが現在ご病気で休業中のやしきたかじんさん。

先ほどの番組中で、「日本酒と比べて赤ワインは健康にいい」と言ってたかじんさんが赤ワインを浴びるほど飲んでいたら、(おそらくそれが原因で)病気になったという話が辛坊次郎さんから出てきました。俗人の上に根性悪なんで思わず手を打ったんですが、、、そのあと、反省しました。

それは意地が悪いこととか人間のレベルの低いところを反省したんではなくて・・・(勿論、猛反省すべき発言であることはよくわかっております。すいません小人物ですから)

なぜ、たかじんさんが赤ワインしか飲まなかったのか気がついたからです。それは彼の周囲に赤ワインに勝てる日本酒がなかったからです。「健康にいい」というだけで、あの破天荒なたかじんさんが赤ワインを選ぶとは考えられませんから。

もっと、もっと、努力し、それを伝えていかなくてはと考えております。勿論、蔵元個人も、もっと大人物になるように。