すでに「昨日の獺祭」http://asahishuzo.ne.jp/info/report/item_1712.htmlに載せておりますので、ご存知かと思いますが、(と、いうよりも翌日の全国紙掲載の首相動静欄でご覧になった方も多いようですね)安倍首相にお会いする機会がありました。

今年1/7配信の蔵元日記http://melma.com/backnumber_29695_5732542/「お楽しみはこれからだ」(挑戦的な題名ですねぇ)の中で、米余りとあれだけ騒がれながら、現場では米が足りない状況、飯米と違って私どもが足らないと言ってる山田錦は、はるかに高価な米で、栽培適地も余っており、栽培農家も増産の意欲もある、まさに農家にとっても私ども蔵元にとっても、またお客様にとっても、みんな良いことが推進できない現状を表に出させていただきました。

(もっとも、こういう風に需要があっても無視して供給を絞ることを続けていけばそのうち需要そのものが減退していきますから、結局「コメが余る」という一般に考えられている状況に誘導されるのですが)

これは、それ以降、それこそ農水省のお役人たちの前でも遠慮せず主張してきました。もちろん、こんなことを言い続ければ、煙たがられるのは分かって、承知の上で話してきました。(農水省のお役人といえども一律減反が良いと思ってはいない方も多いようですが、それでも目の前で言われればねぇ・・・。申し訳ありません)

また、国酒振興という事で、国が日本酒に目を向けてくれたのは良いんですが、実行段階ではともすれば一律補助金のような形になり、実質的な価値のない「乾いた砂漠に水を撒く」ようなものになりがちな現状も話して来ました。(注1)

まさに、価値の無い施策の予算は結局私たちの血税から出たものですから、使わない・残す勇気も持ってほしい。と、いう事ですね。(また、どっかの組合からにらまれるなぁ)

つまり、日本酒の振興は個別の業者の自主性に任せてこそ進む。一律補助金は役に立たず、それよりも、困っている一律減反政策などの規制を撤廃してほしい。

そんなことをあちこちで話していたら、ある方を通して安倍首相の耳に入り、今回の「ちょっと来て話してみろ」という事になったわけです。

まさに、日頃の持論のとおりお話してきました。それと、パリ・ニューヨークなどの海外出店計画も。

しかし、これって「凄いなあ」と感じたのは、私の話は決して行政から見たとき気持ちの良いものじゃありません。いえ、批判に転じやすい意見ですからできるだけ表に出したくない話と思います。

また、業界団体でも圧力団体の長でもない、選挙区でもない、ただの酒蔵のおやじの私に会って話を聞く。私の意見が通るか通らないかは別にして、「日本というシステムも決してつまらないところだけじゃ無いんだな」と一人納得している次第です。

ところで余談になりますが、印象的だったのは、安倍首相が自信と生気にあふれていたこと。良かったなぁ。

「安倍総理、おめでとうございます」

そうなんです。私は安倍贔屓で・・・。そりゃ、「おらが故郷の宰相」ですから当たり前ですが。それこそ、最初に就任したときは、「自民党は何で自らの生き残り程度の理由で将来のエースをここで道具に使うんだろう」「本気で支える気はないのに」と心配したり。就任後、やはり案の定の、自民党内やお役人・マスコミたちの「足の引張り」に悲憤慷慨し。退任後、幾人かの首相変遷後、ある月刊誌で、キャリアの選ぶ最も優れた優れた首相に麻生元首相と並んで一位になった時、「マスコミもお役人もあれだけ足を引っ張っておいて、今になってよく言うよなぁ」と思ったこともあります。

まあ、山口県人の身びいきと言われても反論できないんで笑ってください。

あ~あ、政治の話なんて商売じゃタブーなのに、、、

(注1)例えばどこかの国で業界団体や出先機関が日本国の支援のもと日本酒の試飲会を大々的にやったとします。これは個別業者の都合は無視されますから、私どものようにその国への輸出に積極的な酒蔵にとってはあまり効果がなかったり、現地で日本酒を扱っている業者にとっても効果の少ないことが多いのです。つまり、マーケット育成のタイミングは無視していることが多いという事ですね。

ところが、その国でこれまで築いてきた商圏を守るためには、意味のないイベントと思っても、それでも出なければいけない。また、補助金付きという事で集まってくる大方の酒蔵は、大概、輸出に本気じゃなくて、勿論、流通ルートもありませんし今後造る気もないですから、その試飲会でお客様に好評を博しても次が続かない。

こんな現実があるんです。

最後に、国酒振興プロジェクトで、在外日本大使館で日本酒を使うって、当たり前じゃないでしょうか? 今まで、ワインに特化していたことがおかしいんじゃないですか?ある方が言っておられました。「日本の公邸って良い日本酒がないのよねぇ。頭が痛くなるような酒ばっかり。予算がないって言い訳するけど、ワインはあんなに高いワインをいっぱい買ってるのに」

まだまだ、道遠し。みなさん、ご支援よろしくお願いします。