農水省からの今年度酒造好適米の生産数量速報が届きました。まず、吸い寄せられたのが兵庫県の山田錦生産数量。昨年度17,153トンだったものが20,240トンに。うん、快調、快調。続いて全国の生産量。ドキドキしながら数字を読みました。28,765トンとあります。ぱっと、頭に入ってきません。えーっと、トンだから、まず1000倍して、60kg/俵に直して・・・。えっ、48万俵!!今年度、なんと、48万俵達成したんだ。やったー!! 心の中でガッツポーズ。
昨年の38万俵弱から10万俵伸びている。途中の手応えから45~6万俵程度は行ったと確信していましたけど、ここまでとは思いませんでした。実は、私が口癖のように言う「山田錦全国生産量60万俵」を最初言い出したときは、とても遠い目標で、できそうに思えませんでした。しかし、どうせ口三味線なら大きいほうが良いと思ってこの数字を口に出していたんです。でも、このままで行ったら、この1~2年で達成しそうです。
とにかく、昨年ぐらいから出会う農業関係者たちの顔つきが一気に変わりました。それまで、「お前が言うようには、山田錦の生産は増えないよ」とか「日本の農家は高齢化して若い人の新規参入はないんだから、コメ作りに将来はないよ」と言う方が大部分だったのです。(がっくり来るのはこれ全部農業関係者の発言)
でも、私どもが昨年春、岩国で開催しました「山田錦勉強会」も最初はパストラルホールの小会議室で開催するはずが、130名を超える来場者のため急きょ大ホールへ変更して開催しました。また、酒蔵を突然訪問してこられて、「うちで作りたい」といわれる農家や農業法人が何人も現れるようになりました。こうなると、県の行政とか全農も少なくともポーズだけでも動き出しますしね。
なんといっても感動したのは、例年は300人程度しか集まらない兵庫県の山田錦生産者大会の参加者が昨年は突如500人以上に増えたことです。山が動き始めた。
このままいけば100万俵(6万トン)行くんじゃないか。6万トンといえば、主食用米の全国消費量は最近750万トンといわれています。約1%に迫る数字。まさに、酒造りを通して日本の農業の活性化に寄与するといってもいい。
ただ、残念ながら、これで獺祭不足が一件落着とはいきません。増えた数量がすべて私どもの酒蔵に入るわけではないからです。今回増えた山田錦10万俵のうち7万俵は私どもが関与した増加分という実感がありますが、実際に旭酒造に入るのは2万俵強。
また、新蔵が4月に完成するとともに数か月の移行期間があります。この間が足を引っ張って、今度はコメはあるけど製造能力が足りないという状態になりそうです。先ほどお話ししましたように、山田錦が増えたといっても、まだまだ、私どもの希望数量にははるかに遠い数量しか回ってこないわけですから、今年も獺祭の供給不足に悩み、お詫びの一年が続きそうです。