もうすでにご覧になった方も多いと思いますが、本日の読売新聞にて、獺祭始まって以来、初の新聞広告を出させていただきました。 これまで、新聞広告をといわれても全く乗りませんでしたし、「地域活性化の為に地酒の広告を」と言われても乗りませんでした。それなのになぜ??? 実は訴えたいことがあったからです。

それは、獺祭を「私たちの希望小売価格で買ってもらいたい」つまり「不当に高く買ってほしくない」という事です。

全国のスーパーや酒屋さんの中には、いわゆる転売屋といわれるところから獺祭を仕入れて私たちの希望小売価格の二倍・三倍の値をつけて売られる方がいます。

高いだけならいいのですが、その流通経路を見てみると、正規小売店から何らかの方法で酒を買って、それを集めて、割増な価格でスーパーなどに売る、という流通形態を取ります。つまり、正規の取引先ではない業者が間に入ります。彼らはおそらく獺祭に愛情はありません。それどころか、正規に取引させてくれない獺祭に恨みすら抱いているかもしれません。したがって流通過程の品質管理もおざなりかひどいものと考えられます。

そして、流通にかかる日時も必然的に長期化します。昨年、私どもが虫の混入を引き起こし、商品を交換させていただいた時、それを見つけたスーパーは正規取扱店ではなかったのですが、その店に獺祭が到着した時点で二か月たっていました。

そんなことで、お客様にとっても「品質は悪いわ、値段は高いわ」で良いところは何もないのですが、これが法的には文句をつけられないのです。メーカーは小売価格まで規定することが再販価格維持禁止法によりできないからです。

ある東京・八重洲の名門の酒問屋さんがそんなビジネスを公然とされていて、お問い合わせした時も、「弁護士と相談していますから」 と木で鼻をくくったような返事が返ってきました。

私たちも「消費者保護」を目的とするはずの法律が反対に消費者の不利益になっている現実に割り切れないものを感じていますが、何ともしようがないのです。

しかも、かなりのお客様が獺祭の希望小売価格をご存じないのです。だから割高でも「こんなものか」と思われて購入されるんですね。 前述の虫混入商品取り換えの時も、税込み2480円の「獺祭 磨き 三割九分」を関東のあるスーパーから一万円以上で購入したから「その金額を返せ」と言われて困惑させられたお客様が数名おられま した。

そんなことで、本日の新聞広告で獺祭の希望小売価格と正規取扱店の名簿を載せさせていただいたのです。

実はこれは「両刃の剣」の行動です。獺祭の全国の正規取扱店は630店余り、全国の酒を扱っているスーパー・コンビニ・酒屋さんは10万軒以上あります。いわば、この獺祭を扱ってない酒取扱店さんのかなりの方々にとって、獺祭は腹立たしい存在です。(いつかの週刊誌の記事に登場した「某」酒専門店もそうだったんだと思います) この件に関して、好意的な反応を示してくれそうにあり ません。

だからといって、獺祭に愛情も何もなく、ただ儲けの追求のみが目的で獺祭を取り扱いたい酒屋さんに出す気はありません。そんなことをすれば確かに獺祭への悪口は減るかもしれませんが、「お客様に良い状態の獺祭を販売できる能力を持つ酒屋さんだけに取引先を絞る」という事が出来なくなります。お客様の不利益を招くことになります。

また、実際に転売屋さんや其処から獺祭を仕入れていた店にとって、この広告により今後はやりにくくなりますから面白いはずはありま せん。しかも、思いつくだけで、日本有数のスーパーチェーン、中四国有数のスーパーチェーン・山口県有数のスーパーチェーンと立派なところばかり・・・、頭が痛いですね。今度は「某」酒専門店 だけでなく「某」有力スーパーチェーン・バイヤーの意見なんて週刊誌に載るかも。

しかし、本当にお客様にまともな価格で獺祭を買ってもらいたい。品質の劣化した恐れのある獺祭でなく、良い品質の獺祭を飲んでも らいたい。そんな気持ちで本日の新聞広告を出しました。よろしくお願いします。