さて、どうするかという事ですが、撹拌不足に関しては担当者本人だけでなく、別の人間が必ず確認・記帳したうえで次の工程に移行する、という当たり前の改善策を策定しました。「こんな当たり前のこともやってなかったのか?」という皆様のお叱りは当然で、自分でもなんと情けない話と考えています。
改めてですが、「申し訳ありません」
ただ、この問題に限らず製造現場には様々な「ミスを起こし易い工程」「ズルしたくなる工程」「人命に関わる工程」があります。合わせてそのあたりを製造部のみんなと共に再確認いたしました。
その結果、製造部が出してきた結論があります。それは「少し造りの日程に余裕を入れよう」というものです。酒造りの各工程を精米・洗米・麹造り・発酵管理までを前半とし、それ以降の搾り・ブレンド・アルコール度数調整・瓶詰・貯蔵を後半として分けてみます。
圧倒的に前半部分の方が手作業が多く肉体的には大変で、後半部分は機械に頼る部分が多く楽に見えるのですが、心理面まで含めれば、必ずしもそうではないという事です。
日程的にも発酵管理の仕込み段階までは厳密にスケジュール管理されますが、発酵が始まってしまうと自然のモノですから、明日はどうなるかは神のみぞ知る、という事になるわけです。つまりそれ以降の搾りから後の後半工程は日程など有って無きが如きで、発酵の具合次第で搾りの日が決まり、結果としてブレンドも瓶詰もそれ次第となるのです。
そうすると、皆様の中には搾ったからといってもその後の日程はコントロールできるだろうと思われる方がいると思います。ほとんどの酒蔵はその蔵の都合でそのあたりを決定されるはずです。
しかし、旭酒造は違うのです。酒質に合わせて瓶詰日程が決定されます。つまり、瓶詰部門やブレンド部門に日程決定の余地はないのです。
正月なんかに出勤している人間も圧倒的に後半部門の社員が出ています。
つまり、日程をコントロールできないわけですから、使われ感とでもいうのでしょうか、そういったものがどうしてもある。しかも、前半部分のように人力でやるものが少なくて機械でする仕事がほとんどですから更に心理的にも疲労が大きいと思います。
そんなことで、「日程の余裕を見よう」という製造部の進言につながりました。これは酒質向上にもつながる。
ここは、中小企業のオヤジらしく、「酒質の面でも日程に余裕を持たすという事は良い影響を与えるはずだから、それは了解するけど・・・・・、もちろん、日程に余裕ができたからまた更に同じ類の失敗を起こすなんてないよ・・・、なっ、なっ(威嚇)」なんて言葉と共に受け入れました。
もう一つの問題点に関してはもう一度次回配信にさせてください。