あけましておめでとうございます。

昨年は旭酒造にとっては踊り場の年でした。組織としては特に製造において考え方に大きな欠陥が発見されました。逆風が随分吹いた年でした。批判も随分いただきました。そんな中で、本当にありがたかったのは、皆様の支援と声援です。厳しい指摘もいただきましたが、同時に激励もたくさんありました。そして私どもにご連絡いただくわけでもなくネット上などで、皆様から熱い援護射撃やご声援をたくさんいただきました。本当に感激いたしました。

その過程で、獺祭がやらなければいけないことが見えてきました。それは獺祭にしかできないことをやる、ということです。

例えば、昨年発表させていただきましたが、隈研吾先生デザインの久杉橋の建設推進。「日本の地域は美しくなければいけない」「そのためには災害も逆手にとろう」、そんな思いで始めた建設プロジェクトです。

日本酒の海外におけるブランド化への挑戦である、パリのダッサイジョエルロブションの営業。フレンチの最高峰と獺祭の魅力を融合させたレストランです。昨年はすぐそばのシャンゼリゼで毎週のように行われた例の「黄色のベストデモ」で土曜日も閉店を余儀なくされ、一時はどうなるかと思いましたが、何とかお客様も戻ってきたようです。パリを獺祭で魅惑させます。

世界への日本酒そのものへの理解・浸透を目指す、ニューヨーク・ハイドパークでの酒蔵建設。ブランド名は「獺祭Blue」。その意味するところは「青は藍より出でて藍よりも青し」。アメリカに派遣する社員たちには文字通り「(獺祭Blueは)日本の獺祭を品質で越えろ」と言っております。

いずれをとっても、山口の一酒蔵には荷が重い挑戦です。空振りして尻餅をついてもいい覚悟で思いっきりバットを振ります。

昨年はマンハッタンで開催された東大ニューヨークオフィス主催の講演会「アート・オブ・サケ」に演者として呼んで頂き、日米を代表する知性の前で、日本酒について話す、という貴重な経験も致しました。(あのロックフェラーさんにも聞いていただきました)

また、慶応大学や理化学研究所などからの調査目的での訪問もいただきました。それとは別に、名前を出せないのですが、とんでもないところとの共同研究も始まりました。ほかに名前を出せるところで言うと富士通さんと組んでの製造過程へのAIの導入研究も進んでいます。

そして、何より、何より、獺祭にしかできないこと、「ちょっでも美味しい獺祭」をお客様にお届けしたい、ということです。そのために、製造組織に対する考え方も変えました。変わる事を受け入れざるを得ない社員にとっては大きなストレスだったと思います。おそらく、こんな乱暴なことは普通の会社だったらしないと思います。

でも、「より優れた獺祭」の為にはせざるを得なかったのです。すでに、変化は出始めていますが、本当の結果はこれからです。今年の獺祭を見てやってください。今年もよろしくお願いします。