あけましておめでとうございます。
昨年はいろいろなことがありました。コロナで始まり、それでも海外市場の持ち直しと共に輸出が順調に伸び、国内のマイナス分をカバーしてくれました。輸出はどうしても国内と比べると高単価商品からよく動きます。おかげで、量はともかく金額は伸びて、昨年度は旭酒造での史上最高の売上金額を達成することができました。
夏には悲しい経験も致しました。7月に私どもは仲間を一人亡くしてしまったのです。事故の後は、重箱の隅をつつくように安全管理の落ちや危険個所を探す毎日が続きました。そんな中で、安全な酒蔵であることは勿論として社員一人一人がプライドを持てる酒蔵を目指そう、お金だけでプライドは買えないけど、少なくともその一つの手段として、社員の給与を5年で倍にしよう、という計画もスタートしました。(食品業界ダントツ一位の水準を目指しています)
実はこれ、最近私が良くいっている「日本酒は手間がかかる」、「手間がかかる」ということは「西洋的な科学主義から言えば劣ったもの遅れたもの」のように言われるけど、「良い酒を造ろうとするとき手間は必要不可欠なもの」という話にも通じるのです。
手間をかけるためには人手が要ります。(現状でも3万3千石に130人!!の製造スタッフ) しかも、このスタッフは技術的に今までとは一段違う技術水準にないといけません。つまりいい酒を目指そうとするなら人材が要るのです。ごく少数のエリート技術者とその他大勢が生産する、今までの「儲かる生産モデル」とは違うものが必要とされます。優秀なリーダーはマストですが、そのリーダーの言わんとしてることやろうとしてることを「阿吽の呼吸」で理解して実行するスタッフ。つまり超忖度集団!! こんなスタッフたちに高い報酬を約束しなければこんなことは成立しないでしょう。
(優れたものを追い求めることが、近年先進諸国が悩み、日本も悩んでいる経済の二極化の解決策と思います)(そしてその結果生まれた獺祭を理解してくれる顧客を国内だけに拘泥せず世界に広く求める)ことも必要条件です。
獺祭を生み出すには手間がかかるのです。今年もそれをさらに推し進めます。今年もよろしくお願いします。