大平由美の居酒屋めぐり

居酒屋めぐり

第四十七回 右京(東京都・麻布十番)

更新日:2012.06.19|居酒屋めぐり|

http://r.tabelog.com/tokyo/A1307/A130702/13129939/ (食べログより)

“麻布”と聞くと、敷居が高そうな町という印象があるのですが、“麻布十番”となると、親しみやすさを感じます。理由は様々ですが、何はさて置き、町として300年もの歴史を保ちつつ、今も進化発展を続ける商店街の、古さと新しさを両立しているバランスの良さにあると思います。江戸時代、明治時代から続く老舗も数多い一方で、新たなお店もどんどん開店している好奇心旺盛な町、そこで生活する人々・・・・・・。今回、わたしがお訪ねしたのは、そんな楽しい町である麻布十番に、2011年7月にオープンした和酒のお店、「右京」です。イメージ

 

主役はお酒!

エントランスの外にテラス席があるのが、オシャレ。入り口を入ると、17席もある長いカウンター席が続き、男性女性を問わず、ひとりでも入りやすい雰囲気です。わたしは奥のテーブルに案内していただきました。ふと見ると、横には立派な襖絵が輝いています。襖って、どうしても開けたくなってしまうのですが、その奥は厨房とのこと。オープンキッチンが流行っていますが、逆に金の襖の陰にキッチンを隠すアイディアが楽しいです。インテリア充実の「右京」ですが、“主役はお酒”とおっしゃるのは、オーナーの岡田右京さん。なかでも日本酒は常時60種ほど取り揃えられているとのこと。さっそくお酒のメニューを開くと、嬉しいことに、なんとトップに『獺祭』が4種類、並んでいます。半合で注文できるので何種類も頼める点が、酒飲みの心をくすぐります。まずは、『獺祭 磨き二割三分』を半合、お願いしました。薄張りのグラスは口当たり良く、二割三分の繊細さと相まって嬉しい限り。水茄子の刺し身、ぶりかまの塩焼きとともにいただきました。新鮮で品の良い味に、素材の良さが窺われます。その食材にちよっとした工夫を凝らしているのが「右京」の特徴で、水茄子にはすっきり系のたまり醤油、ぶりには柚子コショウポン酢(いかにも柚子コショウ、ではない柚子コショウ!)が添えられていて、味のアクセントになっています。二割三分、半合では足りず、もう一杯、おかわりしてしまいました。

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主役のお酒を引き立てるのにはお料理が肝心ですが、器もそれにふさわしくなければなりません。趣味と実益を兼ねて、岡田さんはこつこつと全国を歩いては酒器を買ってくるのがお好きなんだそうです。生まれ故郷の京都の清水焼をはじめとして、なかには骨董品と称される昭和初期の貴重なものもありますが、“どれもお客様に楽しんでいただくため”と惜しげなく使わせてくださいます。ただし、そういった器はあまりお酒がすすまないうちにお使いくださいね。つい手元が・・・・・・なんてことにならないように。(笑)

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誰にも真似できないお店にする

「右京」という店名は、岡田さんが京都の右京区に生を受けたことから名付けられました。それは、常に初心にかえるため、初心を忘れないようにするため。オープンしてようやく一年を迎えようとしているところですが、口コミを中心に客を集め、「右京」は予約必須の人気店となりました。食べログのポイントも高く、なんと一ヶ月に二万件のアクセスがあるそうです。お休みは年末年始のみ。土日も祝祭日も、明け方の4時までお店はドアを開いています。“一軒目にも良し、三軒目にも良し”という柔軟性が素晴らしい。人が面倒がることをきちんとやることがモットーの岡田さんは、どんな飲食店、大きなチェーン店にも真似できないお店にするべく、努力と精進の毎日を送っています。それは、『獺祭』を造っている旭酒造の姿勢と共通しています。すべてはお客様のため、それに尽きるのです。

楽しく 美味しく おもしろく

さあ、お酒とお料理に戻りましょう。『獺祭 純米大吟醸 三割九分』には、「右京」名物の、“豆腐のカルパッチョ白トリュフのせ”、“ねっとり鳥わさ”、“鰻の煮こごり”を合わせました。香りの高い白トリュフとさっぱりとしたお豆腐に、清涼感のある新しい美味しさを感じます。食中酒として広く愛されている三割九分の抜群の包容力が、「右京」のオリジナリティあふれる好奇心に充ちたお料理ときちんと引き立て合っていて、お箸も、グラスを口に運ぶ手も止まりません。あー、夜が長くて良かった。

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『獺祭 スパークリング 発泡にごり酒』をお願いしたところ、岡田さんが出してくださったのは、“獺祭レーズン”。これはまだ裏メニューですが、ふっくらしてすごく美味しい!干しぶどうを『獺祭 三割九分』に二週間、ひたひたにして漬け込んだだけ(冷蔵庫内で)とのことですが、お酒のつまみとしてだけでなく、アイスクリーム、シャーベット、ヨーグルト、各種スィーツと組み合わせてさらに持ち味を発揮しそうです。皆さま、ぜひお試しくださいっ。〆には、オススメの“トリュフ卵かけご飯”。もう思い残すことはありません。あ、でも、“ソーキそば”も食べたかったなあ。今年の夏、「右京」は麻布十番祭りで『獺祭』をフィーチャーしたブースを設けるそうです。どんな楽しく、美味しく、おもしろいい驚きが待っているのか、ワクワクします。乞うご期待!

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今夜も素晴らしいお酒とお料理に出会える幸せに感謝して、乾杯!

 

蔵元の蛇足

そうですか。麻布十番は親しみやすいんですか? 僕なんか麻布と聞いた途端に全部一緒に見えますが(田舎者の証拠)。そして、そっと財布を抑えますが(やっぱりねぇ)。でも常識的な勘定(食べログは平均4000~4999円になってました)。

あっ、発見、「女子率高い日本酒BAR」という記述もありました。この方の使った金額は少し高くて8000~9999円だそうです。うーん、おっちゃんとしては、よーく、わかります。

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