大平由美の居酒屋めぐり

居酒屋めぐり

第四十回 和来路・わらじ(東京都・茗荷谷)

更新日:2011.03.29|居酒屋めぐり|

今回は、愛する地元、わたしの住む町・文京区の茗荷谷にある居酒屋さんをご紹介いたします。茗荷谷の地に開店してからそろそろ26年という「和来路」です。こんな風に書き始めましたが、お恥ずかしい話、わたしがのれんをくぐったのは今年になってから。あまりに家に近すぎるというのが理由になるかどうか微妙ではありますが、それはお許しください。赤く灯った提灯が目印。ご家族が切り盛りしている、いかにも居酒屋らしい心地良いお店です。

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学生の町にある大人の居酒屋

茗荷谷といえば、国立・公立・私立の幼稚園から大学まで、たくさんの学校があることで知られています。朝晩の駅は制服姿の学生たちで混み合い、放課後タイムとなると、ランドセルを背負っているのかランドセルに背負われているのか見紛うような可愛らしい子どもたちが駅の改札をくぐっていきます。ですから、駅の界隈にはファーストフードのお店が多いのですが、駅から歩いて2分ほど、春日通りから少し横丁に入ったところに「和来路」はあります。ちょっと隠れ家風な佇まい。ここからは大人の空間、子どもたちはやって来ません。“和を求めて来るところ、わらじ(草鞋)をぬぐところ”の意が込められたお店は、その名の通り、くつろぎの場所でした。

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8席のカウンターと、4人がけがメインのテーブルが奥にもあり、60席ほどの店内は、素朴でやさしいインテリアです。テーブル席についてお酒のメニューを拝見。『獺祭・純米大吟醸 三割九分』が、なんと850円。この良心的なお値段にすっかり和んでしまいます。さっそく一合お願いしました。まぐろぶつ、菜の花の辛し和え、冷奴、ナス焼きなど、旬のお料理とともにいただきます。『獺祭』のラインアップのなかでよく言われるのが、“三割九分は食中酒として素晴らしい”という一言。そうなんです。どんなお料理にも、寄り添うようにお料理を生かし、それでいて山田錦の繊細な甘さ、旨みが口の中に広がり、あとのキレは爽やかなのです。春近し!

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地元のお客様と向き合う

カウンターの内側の厨房でお店を切り盛りしているのは、大村としきさん。かたわらでは、「和来路」の創業者である大村さんのお父さまも包丁をふるいます。ホールはお母さんが、若いスタッフとともに仕切ります。手際よく、でも、いき過ぎることなく、人と人の触れ合いのなかで仕事している感じが見て取れるのがこのお店の魅力なのでしょう。焼酎をボトルキープしている常連さんたちが次々とやって来ます。ビールと焼酎を飲まれるお客様が多いそうですが、そんななかでも『獺祭』は人気がありますよ、と大村さん。見れば、日本酒メニューのトップに!わが地元にも『獺祭』ファンが増えつつあると知ってうれしくなり、次々とお酒に合いそうなお料理を注文してしまいました。甘みがのった“越冬キャベツ蒸し”は野菜たっぷりのからだにいい一品。甘みがのったキャベツをピリ辛のお味噌につけていただきます。三割九分のやさしい味わいと、口の中で引き合うようです。板わさ、山芋の千切り、銀杏にポテトサラダ……。これぞ日本の居酒屋さんのメニューです。

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軽く一杯でも、腰を据えても

あちらこちらの居酒屋さん、お料理屋さんに出かけるのはとても楽しいことです。お店ごとに特徴があるのはもちろん、お店がある町にもそれぞれに歴史があり、物語があるのですから。帰り道が仮に遠くても、ほろ酔い気分でのそぞろ歩きは面白いものです。とはいえ、ほろ酔いで止まらず終電を過ぎてしまえば、高いタクシー代を泣く泣く支払うなどということに。そんな経験、酒飲みならば一度や二度ではないですよね。でも、我が家近くにお店があれば、そんな心配は無用です。「和来路」からなら這ってでも帰れます(軽く自慢)。少し飲み足りなくて軽く一杯と立ち寄っても、近隣のテニスコートで目一杯運動してから、“さあ、しっかり飲むぞ、食べるぞ”と腰を据えても大丈夫。大村さんご家族と働き者のスタッフが、いつでも笑顔で迎えてくれることでしょう。

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今夜も素晴らしいお酒とお料理に出会える幸せに感謝して、乾杯!

 

蔵元の蛇足

いかがでしたでしょう。ある東京のOLは、「うちの会社のおじ様たちは、地震前は仕事も無さそうなのにいつまでも会社でブラブラしてたり、徹夜したりしてたのに、地震後は大急ぎでみんな帰るんですよ。急に帰って奥様にうるさがられないかしら」と話していました。御同輩のおじさんの皆さん、家庭の幸せと、東京を元気にするために、東京の夜を楽しくがんばりましょう。

さらに蛇足

私の知り合いも言ってる話ですが、いま東京で日頃は予約も取れないレストランや居酒屋の名店がガラガラです。ホテルも外国人客のキャンセルが続いてこれもガラガラ。銀座のブランドショップも勿論ガラガラ。地方の人間にとって、東京見物にこれほど最適な時はなし。残念ながら、これを読んでる皆さんは、乳幼児時代は遠く過ぎ去ってるから、影響もないみたいだし。(すいません)

東京を楽しんで日本を元気にしよう。

蛇足の蛇足の蛇足

本日の日経新聞によると、事故後、政府は勝手に安全基準値を変えちゃった。日頃、理不尽な数値規制も「法は法なり」と抑えられることの多い酒蔵としてはちょっと不可解。原子力の専門家のブログを見てると、東京は大丈夫のようですが、原発周辺の住民に対しては、ただ都合の良い数値を振り回しては、「安全」というだけでなく、もっと避難方法や避難先の利便性も確保する責任あり。政府も責任をとる必要あり。

 

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