文責 広報 千原

 

2021年12月2日 晴れ。

日差しは暖かいものの、日陰に入るとやはりすっかり冬を感じるようになりました。

この日、旭酒造の精米工場にて「最高を超える山田錦プロジェクト2021」の予審会が行われました。

事前の穀粒判別器の審査をクリアした39点を審査しました。

 

2019年から始まったプロジェクトも今年で3回目。

農家をより元気に魅力ある産業にするため、そして獺祭をさらに美味しくするために、全国の山田錦の品質を評価するコンテストを開催しています。

今年から審査員には旭酒造で精米を11年経験した社員の榎本(獺祭のコメに日本一詳しい男!つまり日本酒業界で最もたくさんの山田錦を見て、精米してきた人物です)が加わることになりました。

なぜ社外の審査員の皆さんに依頼している中に旭酒造の社員を入れたかというと、素晴らしい品質の山田錦が揃うが故の問題が発生したからです。

 

2019年のグランプリ米で造った「獺祭 最高を超える山田錦2019 年優勝米」(Beyond the Beyond)」は昨年のサザビーズオークションにて最高額1本約84万円で落札されました。

しかし、2020年のグランプリ米で造ったお酒は、非常に質の高いお酒ではあったのですが、旭酒造の目指す「最高を超える」レベルには至っていないと判断され、世に出されることがないままでした。

2020年グランプリ米は中心部にある「心白」があまりに大きく、精米していくにつれ割れやすくなり「獺祭 磨き その先へ」以上のお酒造りには向いていないことに気づきいたのです。(※)

 

そこで、今回は、常識を超えた高精白にも耐えうるか、獺祭のお酒造りに適しているか、という視点も持って審査されることになりました。

審査員の皆さんも従来の等級検査とは異なる基準のため、審査方法に面食らっていらっしゃる様子ながらも、予審を通過できる素晴らしい米を選んでくれました。

 

真剣な審査を経て6県14点の山田錦が結審に残ることになりました。

グランプリ、準グランプリの発表は2022年1月15日(土)までお待ちください。

 

※心白・・・米の中心の白濁している部分のこと。心白の内部は隙間が多く光が乱反射するために白く見えます。隙間の部分に麴菌が根をしっかりと伸ばすことができ、強い麴米を造ることができます。隙間が多いため脆く、精米時に割れやすく注意が必要。

一般的には大きな心白があることは良い山田錦の特徴です。

↓今回出品された山田錦。中心部の白く濁っている部分が心白です。