レポート:イノベーション研究室 川村 祥史
10月22日に蔵の隣を流れる東川の生態系について考える勉強会を開催しました。
こちらは弊社が設立した一般社団法人旭酒造記念財団が今年度研究助成を行った、公益財団法人リバーフロント研究所の方々と協力し、岩国市立周北小学校の生徒・教員の皆様と製造部の社員合わせて25名程での活動となりました。
活動の前半パートは徳島県のNPO法人 川塾の塩崎(ペペ)さんのレクチャーのもと、東川にはどんな生き物がいるのかを実際に川に入って採集・観察しました。
全員が胴長を履き、網とバケツを持ってストア前のエリアに繰り出して、茂みの根元や石の隙間など生き物が隠れていそうなところを探しました。
小一時間ほどの活動でハヤやヨシノボリといった魚、ヤゴやサワガニ、カワニナ(後半パートでキーになります)など用意した観察用水槽が満杯になるほど生き物がとれました。
川から上がり、皆で採集した生き物を観察しながら「この魚は川のどんなところにいたか?何を食べているのか?なんでこんな形をしているのか?」といった特徴をペペさんに教えていただきました。
そして後半パートは、講師を滋賀県立大学の瀧先生にスイッチし、タイトルにもある「小さな自然再生」を行いました。
この東川は2018年7月に西日本豪雨によって大きな被害を受け、大量の水と土砂によりそこに棲む生き物は下流へ流され、川の流れも大きく変わってしまいました。
そこから6年、前半パートで多くの生き物がいることがわかり、復興を感じられました。
しかし、東川のこのエリアにはまだ戻ってきていない生き物がいます。
それはホタルです。
社長がまだ小学生の頃は蔵の周りでホタルが飛び、学校でホタルを育てていたこともある身近な生き物だったそうです。
そこで今回瀧先生のレクチャーにより、人が運べる大きさの石を動かし川の中に新しい流れを作り出す試みを行いました(“見試し”というそうです)。
ホタルが蛹になる護岸の前に石を積んで「バーブエ(釣り針の返しに似た形)」という障害物を設置しました。
ただ石を置くのではなく、水流で流されないよう工夫された積み方を教えてもらい、隙間には小石や砂利を詰めてさらに頑丈にしました。
たった15分の活動時間ですが、20人程のマンパワーでとても立派なバーブエが完成しました。
今後ここには土砂がたまり、流れも緩くなると植物が新しく育ってこの周りにはさらに生き物がやってきます。幼虫の餌となるカワニナが増えることでまたホタルが戻ってくる大きなきっかけになります。今回の見試しによって川に新たな変化が生まれ、その変化によってホタルが帰ってくることを期待しています。これで終わりではなく、引き続き川の様子を見て時折メンテナンスを私たちで行いながら見守っていきます。
雨天の中でしたがとても楽しく活動できました!ご参加、ご協力ありがとうございました!