旭酒造では、2022年より本社蔵近くの休耕田を利用し、酒米「山田錦」の栽培に取り組んでいます。
本社蔵がある周東町獺越の久杉地区では高齢化などの理由から休耕田が増え、棚田の石垣が崩れたり、荒れ地になるなどの問題を抱えていました。
美しいふるさとの風景を守る事、そして米を使った日本酒を造っている私たちが農家さんの苦労を知る機会をもつためにこの取り組みは始まりました。
今年は5月下旬に蔵人8人が参加し、田植えを行いました。昨年は農家さんで育てた苗を植えるところからのスタートでしたが、2年目の今年は、化学肥料を使わない「自然農法」を農家さんに教わりながら、一部の苗は蔵人自らが育てました。
棚田は合計約3.5反の広さ(50mプール3.5個分くらい)で8枚に分かれているため、大きな田植え機は入りません。その為、小型の田植え機を使い、細かな部分は手で苗1本1本丁寧に植え付けを行いました。
夏の間は、台風などの急な天候の変化に気を配りつつ、山からひく水の調整や草刈り、生育状況を確認しながら大切に扱います。
残暑厳しい8月末、山田錦の稲穂に小さな花がついたと聞き、早速田んぼへ。あいにくの雨模様で花が落ちてしまったものもありますが、よく目を凝らしてみると、白く華奢な花びらが見えました。稲の花が咲き、その花粉がめしべにつくことでお米が膨らみ始めます。
精米チーム 中村さん(写真右)
山田錦は他の食用米よりも稲穂が大きく成長し、更に昨年は台風の後の稲刈りだったので、倒れた稲穂を手で起こしながら、稲刈り機で刈り取りました。この作業が本当に大変で…今年は昨年より稲穂が若干短めなのでこのまま倒れずにスムーズに刈り取り出来ることを祈るばかりです。
昨年のお米は1等級のものもあったので、今年は更にその量が増えればいいなと思っています。
精米チーム 宮本さん(写真左)
米造りに関しては素人なので、作業のない日でも田んぼの事が気掛かりですし、米造りの大変さを身を持って感じています。そんなお米一粒一粒を無駄にしないようにと精米チームでの仕事も取り組んでいます。今は米造りを勉強する段階ですが、自分たちが心を込めて育てた米をいつかは酒にしてみたいという気持ちも有ります。
今年の稲刈りは10月頃を予定しています。皆様に良い報告が出来る様、是非ご注目いただけますと幸いです。
【番カニ編】
田んぼ横の水路で、綺麗な水に住むサワガ二を見つけました。が、稲穂を切ったり田んぼに穴を空けてしまうので米造りにカニは大敵…彼の空けた穴は宮本さんによってバッチリ塞がれていました…