獺祭 登龍門DASSAI Artisanal Inception
担当ペア村田大輝・吉井想
地元の高校を卒業し2018年に入社しました。入社後は製品に所属し瓶詰め作業を担い、20歳の時に新設された部署の甘酒・梅酒に所属し0から製品化までを上司と2人で担いました。その後、現在の製麴チームに配属され、麴造り担当しています。
現在は発酵管理部に所属しており、醪の管理等を担当しています。獺祭の全行程を経験することで、酒造りへの知識、関心をより深めたくて今回応募しました。
―前回ペアから登龍門という名前に変わりましたね!
村田:登龍門…まだ聞き慣れないですね。(笑)でも新しいものに挑戦できて嬉しいです。
―村田さんはCRAFT獺祭を含めると2回目の挑戦になりますが、その動機はなんですか?
村田:以前一度クラフトに参加し、造り始めていたのですが、体調を崩してしまい、途中で断念せざるを得なくなりました。そんなこんなで、入社してからの8年間で瓶詰めと甘酒を担当し、現在は製麹チームに配属になりました。清酒の造り部分を担当した経験が浅い為、酒造りの工程を通して経験したいという想いが強く、再挑戦・・・リベンジとなりました。
―吉井さん参加の動機は?
吉井:旭酒造では各工程で部署を分けて作業しているので、自分の部署以外の造りを経験する機会がなかなかありません。造り全体を知りたいと思い「登龍門」の造りに挑戦しました。
村田:育休を取得していて、戻ってきたらペアが決まっていて、吉井さんが入社したタイミングで僕はいなかったので、面識がなく・・・誰?となりました(笑)
―でもお二人の穏やかな表情を見ていると息ピッタリな(同じ空気感)を感じます。 そんなお二人の表現する(目標とする)お酒はどんなものを目指しましたか?
吉井・村田:基本は「獺祭」。でも甘め!(息ぴったり!)
吉井:夏にキリッと冷やして飲むことを想定して、キンキンに冷やしても味わいが飛ばずにしっかりと美味しいものを目指しました。
村田:仕込み初めが夏前だったので、出来上がりが夏くらいになるという想定で、それならしっかり冷やして美味しい!そもそも獺祭は冷やして飲むのをおすすめしているので、王道「獺祭」を目指しつつも甘味は意識するようにしました。
―今回使用したお米の産地はどこですか?
村田:2人とも山口県出身なので2021年度山口県産を選びました。実際にお米を栽培して下さった農家さんにも飲んで欲しいなあなんて思っています。
―造りのポイントや特に重要だと感じた工程はどこでしたか?
吉井:やっぱり製麹・・・と酒母ですね。
村田:甘さを意識した「三割九分」なので、甘さを左右する「米の溶け」を司る麹=製麹かな・・・
吉井:麹の仕込みは2回に分けられていて、①酒母(お酒の基)になる麹は、酵母の増殖が目的で、②仕込みの中盤~最終段階で使う麹は①で増殖した酵母の餌となる糖分を適度に供給する役割があります。
村田:製麹は、蒸した米に麹菌をまいて、その菌を繁殖させることで造られます。言ってしまえば「カビ」なので、じめじめした所では菌の繁殖は活発になります。が、蒸米で米の水分を飛ばし過ぎてしまい、想定より乾いた米での麹造りとなりました。で、麹菌の動きも想定よりゆっくりになりました。
―それでそれで・・・?
吉井:それから・・・
村田:僕の判断が仇となりました・・・
―というと?(つっこむ)
村田:②の麹の経過をみたときに、グルコースの数値が目標値に達していませんでした。その為、通常より5時間ほど製麹時間を延ばして、麹の発酵を促すことにしました。結果、アルファアミラーゼ(デンプンを分解し糖に変える物質)の数値が上がり過ぎてしまいました。
吉井:この麹でマニュアル通りの造りをしようとすると、米が溶けすぎてしまい、甘い以上に雑味を生む原因になるというところから、バランスをとるべく、掛け米(仕込みの途中段階で使う米)自体の水分含率を通常より低く、硬めの米で仕込むという判断をしました。
―簡単に言うと、溶け過ぎてしまうのを防ぐために、水分量の少ない硬めのお米を使って仕上げたということですね。その後の経過はいかがですか?
村田:もろみの経過は非常に安定していました!(自慢げ)
吉井:ですね。安定感抜群でした。
―今回二人とも経験したことのない、造りの工程があったと思うのですが、どのようにして取り組みましたか?
村田:清酒造りに関しては、製麹しかやったことがなかったので、洗米は事前に練習しに行きました(笑)
吉井:僕も未経験の部署に武者修行をしました。
―「予行練習」ということですね。そして出来上がったお酒の味わいはいかがですか?
村田:しっかり冷やしても味わいがぼやけることなく、甘味を存分に愉しんでいただけます。
吉井:味わいがしっかりとしているので、単体で飲んでいただく事をおすすめします。肌寒い季節になって来ましたが、暖かい部屋の中で冷えた「登龍門」をお楽しみ下さい。
―最後に今回取り組んだ感想をお願いします。
村田:今回の取り組みを通して、酒母・麹作りがしっかりしていないと思い描いた酒にならないと実感しました。次回挑戦する時にはまた違う目標を立て取り組んでみたいと思います。
吉井:酒作りの難しさを改めて実感しました。各工程が非常に重要で、全ての工程があっての「獺祭」だと再確認しました。現在所属の仕込みチームでの自分の役割をしっかり努めていきたいと改めて思いました。
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