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獺祭 登龍門DASSAI Artisanal Inception

獺祭 登龍門 千代時男・田中康登

担当ペア千代時男・田中康登

千代時男
千代時男
現在は上槽チーム(タンクの酒を搾る工程)を担当しています。入社4年目となり、これまでで得た知識を実践で活かすいい機会と考え立候補しました。
田中康登
田中康登
仕込みチームでの経験しかないため、酒造りの工程を全て経験したいと思い参加を決めました。また、仕込みチームでもろみ管理をする機会が増えたため、今の知識がどこまで通用するのか知りたかったのも理由の一つです。

―当初、目標とした味わいはどんなものでしたか?

千代:なるべく通常の三割九分の様なバランスのとれた味わいを再現しようと心がけました。しっかりキレのある食中酒がいいなと思ってたので、味わいは辛めで、赤みのお肉と合わせて飲めるフルボティのワインの様になればいいなと思って始めました。

―お二人は元々お酒は好きだったんですか?

千代:そうですね。飲むなら日本酒です。また造りにも興味があって、学生時代は発酵について勉強していました。

田中:お酒は好きで、酒イコール肉料理!「肉料理にあう三割九分」にとなりました。

POINT1 2021年度 山口県産の山田錦

―肉料理にあう日本酒!いいですね~!そんなお二人が選んだお米の特徴は?

田中:今回は、2021年度 山口県産の山田錦を使用しました。というのも、同時期に同じ米を使用して通常の獺祭の仕込みをしていたので、参考に出来るデータが揃っていました。

千代:少量だと仕込みも、簡単なんじゃないかと思われる方もいらっしゃると思いますが、酒造りに関しては、少量になればなるほど、変化に敏感で扱いにくくなります。その為、同時期に同じ米を使って仕込んだ経過を参考と出来るのは重要なポイントでした。

―蔵元のある山口県産の山田錦を使って、山口県で造られたお酒ということですね。実際にお二人で酒造りを経験してどうでしたか?

千代:酒造りの奥深さ・難しさを痛感させられましたね・・・。というのも、お互い「洗米」の経験がなく、担当チームのアドバイスを貰いながら同じようにやっていたのですが、目標とする吸水率にすることが出来ず…2つに小分けした米を同じ環境・水温・時間で浸水しているのに、計ってみると吸水率が異なる。ミステリーですよね。(笑)

田中:先に述べた様に、これが大量のお米となると、小分けにしたときの数値が少しぶれていても、量が多いのでその分、別のお米で調整するといことが可能となります。が、それが出来ない。言わば、誤魔化しがきかないという試練でした。

正直にいうと、洗米はちょっと練度不足だったかなあ・・と思っています。今後の課題の一つになりました。

POINT2 酒母

―そうして、洗米した米を蒸し、酒の基となる「酒母」を仕込んで行くわけですが、どうでしたか?今までのペアの話を聞いた時に、皆さん口を揃えて「酒母(酒の土台となる部分)」は本当に大変だったと答えられていたので。

千代:いや~・・それは僕たちも一緒でした。

田中:そうですね…(苦笑)いつも2人が揃うわけではないので、1人が休みの時には前日に、どのような作業をしたか細かく記録して、次の日に確認と修正を出来る様に取り組みました。千代さんがお休みの日には必ず電話で酒母の経過を報告していました。

千代:そうそう。15時くらいになると田中君の着信が入っていて(笑)後々見返すとお互いの着信履歴しか残っていないような状態でした。

―二人三脚で造り上げたんですね。酒母の経過はどうでしたか?

千代:それもまた大変で。カレーを造る時の寸胴鍋の様な小さなタンクで酒母は仕込みます。通常、室温5~10℃くらいの酒母室を使うのですが、丁度別の仕込みがあり、使えませんでした。その結果、以前のペアが使用していた室温2℃の別室で仕込むことになりました。

室温が低く、酒母は10度前後で一定を保たないといけない。タンクを囲ったり、タンクの下から温めたり。10日間の酒母の工程は、正直毎日が恐かったです。

田中:そうやって仕込んだ酒母と麹・蒸米・水を加えて、醪の発酵を行いましたが、凄く順調な経過で。酒母で振り回されたのが嘘のように本当に良い出来の醪でした。

千代:あの酒母が基になって生まれているとは思えないくらい、発酵の度合い、アルコール度数の経過が順調でした。

そのため、どのように操作したらどういう味わいになって行くのかなど、予想が立てやすく、非常に扱いやすい、いい子でした。(笑)

―そして出来上がったお酒ですが、いかがでしたか?

田中:口に含んだ時は軽やかな甘みが感じられ、飲み込む頃には旨みなどの味わいが感じられます。好き嫌いが分かれてしまう酒かもしれないですが、変化する味わいを感じていただき、是非感想をいただきたいです。

千代:想定より、味わいが軽くなったので、もう少しキレが欲しかったのですが、そこは今後の課題ですかね。

ただ、食中酒としては、お酒自体の味わいの幅が広いので、お肉でもお寿司なんかの生魚とも合わせて味わっていただけたらと思います。

―今後もCRAFT獺祭に挑戦しますか?

千代:挑戦します!若手が自分のお酒を造りあげるという機会をいただけるということ自体がとても貴重だと思っていますし、今年入社したばかりの新入社員にそんな姿を見せることができ、有意義な時間でした。が、一旦は少し休憩したいなあ…(苦笑)

田中:僕もまた挑戦したいと思っています。今回の経験を活かして、今後も知識を深め次のCRAFTに活かして行きたいです。

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