獺祭 登龍門DASSAI Artisanal Inception
担当ペア江田健太郎・松下学
ー江田さんは今回2回目の挑戦ですが、そこに至った経緯はなんですか?
江田:現在、上槽チームに所属しており、できた醪(もろみ)を搾る工程を担当しています。米選びから、そのお酒をお客さんに紹介するまで一貫して担当できるという部分を非常に魅力的に感じ今回も参加を決めました。
今回はタイミング良く[東京 獺祭の会]で、一足お先に直接お客さんに僕たちの「登龍門」を紹介することが出来ました。
ーそして、松下さんは初めての「登龍門」ですね。
松下:そうですね!入社2年目となり、参加資格(入社後1年以上)を満たしたので、募集がかかった時に即座に手を挙げました。入社し、洗米・蒸米を担当するチームに所属しています。自分の洗った・蒸したお米がお酒になる工程について理解を深めたいと思い参加しました。
江田:ペアの相手が2年目の松下だったので、「自分が引っ張っていかないと」というプレッシャー、全て2人で決めていくというプレッシャーはありました。もちろんどちらも良い意味ですよ。
松下:ペアが発表されたときは、江田さんと聞いて心強さを感じました。以前CRAFTでの経験もあり、様々な部署を経験されている大先輩なので。
ー今回使用したお米は何県産のものですか?
江田:2022年栃木県産のお米です。良く溶ける米を精米チームの主任に相談したところ、前年の栃木県産は良く溶ける性質だったと聞き、こちらを使用することを決めました。
とはいえ、2022年同県産の米で仕込むのはこの登龍門が初めてだったので少し不安はありました。
ー米の選定後、洗米についてはどうでしたか?
松下:今回は江田さんに学ばせていただく姿勢でしたが、現在所属のチームで洗米を担当していますので洗米・蒸米を任せていただきました。僕の腕の見せどころ!
ーそんなお二人が苦戦した部分はどんなところですか?
松下:麹は2つ造るのですが、1つ目の麹は米を溶かす力が十分ではありませんでした。そこをカバーすべく、2つ目の麹については麹の力価(米を溶かす力)が強いものを造りました。
1つ目の麹の状態を見極めて、2つ目の麹を造る際に柔軟に対応できたのも2人で取り組んだからこそだったと思います。
ー江田さんはどうですか?
江田:酒母ですね…。お酒の発酵の基となる「酒母」は寸胴鍋のような入れ物で仕込むのですが、雑菌が沸かないように室温7℃の部屋で仕込みます。寸胴鍋の下に熱源を入れてゆっくり温め発酵を促すはずが、夕方に温源を入れて帰ったところ、次の日、急激に温度が上がってしまいました。その状態から一気に温度を下げてしまうと強い酸が発生し、味わいにも影響してしまうため、ゆっくり温度を下げるよう、混ぜながら徐々に温度を安定させるように取り組みました。
麹においても、酒母においても、リカバリーは十分にできたので、タンクでの発酵期間は順調な経過でした。
松下:当初の目標とした味わいは「低アルコールで、甘めでスッキリ!」でした。
最終的には、想定よりもアルコール度数は上がりましたが、甘めでスッキリした味わいは表現出来ました。
ーお二人がお勧めするペアリングはありますか?
江田:お肉です!食中酒にして召し上がっていただく事をお勧めします。
松下:僕は出汁のきいた煮物と一緒に飲むのもおすすめですね。
ー今後の目標はありますか?
松下:今回酒造りの工程すべてを担当しましたが、今後別の部署も担当し、酒造りを自分のものにしてからまた「登龍門」に挑戦したいと思います。
江田:今回久しぶりに製麹の工程を担当しましたが、離れていた分感覚が鈍っているなと感じましたし、確認の意味も込めて、経験できてよかったと思いました。
自分の考える「獺祭」を表現すべく、これからも機会があれば挑戦したいと思っています。