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獺祭 登龍門DASSAI Artisanal Inception

獺祭 登龍門 村田大輝・中村亘輝

担当ペア村田大輝・中村亘輝

村田大輝
村田大輝
現在、製麹チームの主任をしています。2023年に1度登龍門に挑戦し、2回目の挑戦となりました。
中村亘輝
中村亘輝
北九州出身です。搾ったお酒を瓶詰めする「製品チーム」に所属しています。この機会に一からお酒造りを学びたいと思い参加を決めました。

―今回使用した酒米「山田錦」は何処のものですか?

中村:福岡県産の山田錦を使用しました。自身が北九州出身なので、福岡県産の米を使いたいと村田さんに相談しました。
 
村田:思い入れを持って酒造りをして欲しいと思っていたので、出身地の米を使いたいと相談を受けて嬉しかったです。また、福岡県産の米での仕込み経験もあったのできちんとしたお酒に仕上げる自信がありました。

―山田錦の産地選びから始まった登龍門への挑戦ですが、当初の目標としてはどんな味わいを目指しましたか?

中村:目標についても、僕が決定権をいただきました!趣味が「キャンプ」なので、その日の気候に合わせて、冷やしても温めても美味しく飲めるものがいいなと思いました。通常の獺祭は冷やしてお飲みいただく事を前提に造っていますが、折角2人で取り組むのだからと、この目標に決めました!

―村田さんはそれを聞いてどう思いました?

村田:前回挑戦した際には、夏にキンキンに冷やして美味しい「獺祭」を目指して酒造りに取り組みました。今回はある意味、真逆な目標が定まり、やりがいを感じました。具体的には、温めた際に香りが立ち、口に含んだ時・飲み込んだ後の余韻が重たくなりすぎず、キレの良いお酒に仕上げたいと思いました。

―仕込みの工程で特に苦戦したところはありますか?

中村:僕は入社後製品チームに所属していて、仕込み工程を担当するのは初めてだったので、全ての工程において、村田さんはじめ、部署の担当にアドバイスをもらいながら学ばせてもらいました。

村田:僕は現在、製麹チームの主任をしているので、麹造りには自信がありましたし、中村をひっぱっていきたいと意気込んでいたのですが…

―ですが?!

村田:意気込んでいたのですが、想定を上回る力の強い麹(米を溶かす酵素の力が強い麹)が出来上がりました。
お酒の基になる酒母を造る上で、麹の酵素力価が高いものが必要になります。(お米を溶かさないといけないので)
そういった意味では、ある程度力強い麹に仕上げたかったのですが、、、一方でお酒造りは糖化とアルコール発酵のバランスが重要ですので、この麹を使い、どの様にバランスを取って行くかが新たな課題になりました。

―製麹の経験が豊富な村田さんでも想定外のことが起こったということですね。

中村:その要因は「洗米」時に吸水調節が上手く出来なかったことにあります。10キロずつに小分けした米を水に浸け、吸水させていきます。水に浸ける前後で重さを測り、増えている分だけ米が水を吸ったという事になります。酒母に使用する米全てを洗い終わった時点で、目標数値から5%くらいブレが生じていました。
 
たった5%と思われるかもしれませんが、これがその後の製麹工程で大きく影響をしました。

村田:麹菌は簡単にいうと食べられるカビなので、じめじめした米で繁殖しすぎてしまいました。麹室(麹造りをする部屋)の温度や湿度を調整しながら、吸水し過ぎてしまった米の水分を飛ばすことも試みましたが、結果それも限界があり、力強い麹が出来上がりました。

洗米では、10キロにずつに分けて洗うのが“いつもの”方法だったので、それ通りにやれば上手く出来ると思っていました。でも実際は、上手く調整がきかなかった。過信せず、10キロでぶれを調整できないのであれば、もっと小分けに2キロずつに分けて調整を試みることもできたと後々後悔しました。

 
中村:妥協したわけではなく、ただその機転が利けば、そこまで突き詰めて出来ていたら・・・と次回の課題となりました。
 
村田:力の強い麹で仕込んだ酒は米の甘味が引き立つ味わいになります。温めた時のバランスを考えて、甘味が先行した酒は避けたかったので通常の獺祭の仕込みで使用する量と比べると3%程少ない麹を使い、調整することにしました。
 
 

―タンクでの経過は順調でしたか?

村田:タンクでの発酵期間は30日前後が目安となります。米の糖化とアルコール発酵が丁度よいバランスとなるのが、この期間だからです。それ以上となると獺祭らしい綺麗な香りを表現するのが難しくなり、発酵期間を延ばすことでアルコール度数も上がってしまうためです。

―実際に出来上がったお酒は目標通りでしたか?

中村:全ての工程が初めてで、思いがけず苦労した部分を多かったですが、実際に温めて飲んでもしっかりとキレる味わいに仕上がっています。自分の造った酒をもってキャンプにも行きました!

村田:(製麹チームの主任として)麹だけはいいものを造りたいと思って意気込んでいましたが、今回は課題も残りました。

麹造りを成功させるには「洗米」工程が非常に重要だと実感しました。
そう考えると、やはり1つ1つの工程があって1つの酒が出来上がるのだと、どの工程も非常に重要となるということを強く感じました。
 
スッキリと飲みやすい酒に仕上がっています。これからの季節、野外でのお花見などでお飲みいただけたら嬉しいです!

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